小室哲哉【引退会見全文2】音楽制作への葛藤と引退を決意するまで
年末つい最近作り上げた楽曲、子供のようなものですけど、愛着がある楽曲もあります。自分でも出来が良かったなぁ、いいんじゃないかなぁという曲があります。(これまでの作品でも)avexにとっても、他のレコード会社、アーティストの方にとっても大切な曲だなと思ってもらえる楽曲もあったのかなと思います。
そして今後もこの曲いいな、歌いたいな、聞いてみたいなと思ってもらう曲もあるのかなと思っています。そういう楽曲は退かないで生きていってほしいなと…思っていまして。僕のものではなくて歌う方のものなので、その人が活かしていっていただけるのであれば、育てていってほしい。
そう思えば思うほど、僕の今のようなふらついた考え、ネガティブなあまり明るくない影響が僕の作った楽曲に行ってしまうのが、今僕が一番望んでいないことです。
すこし、もしかしたら一年以上早まってしまったのですが、作詞作曲家というか音楽家をはじめ音を作るのが僕の仕事ですし、ライブ演奏だったり、そんなスゴイ技術があるわけではないですがピアノ演奏だったりとか、そういった音楽に関する仕事を全て退きまして、今回ご迷惑をかけたことを、僕はどうしても罪と罰ということにおきかえてしまっていまして…。
現在引き受けさせていただいている仕事はたくさんあります。まだ直接話していない方もいますし、まだ解散としないグループ、プロジェクトもあります。そういう方たちとの話し合い、どういった思いを抱いていただいているかを聞かなければいけないですが、それは望まれるのであれば、最低限のことは全うしていきたいと思います。ですが、自発的な音楽活動は(目頭を押さえる)本日をもって終了となります。
元は芸能人になりたくて入ったわけではなくて、音楽をやりたくてはじめた身で。自分もヒット曲を作る人間なんだと思っていたわけではなく、ある程度好きな音楽をやっていたいなと思っていた人間であったわけですが。90年代の自分でも全く想像がつかない枚数であったり売上だったりとか、そういうことでの過信だったりとか、そういうものからくる慢心であったりとか。枯渇していっている能力。自分でも飽きてきている、皆さんも飽きているという認識の甘さだったりとか。そういうことから大体約20年経っているので。お騒がせした今回も含めて、まぁまぁの時期が過ぎたのかなと思っています。