お芝居にならないように呼吸でやっていた
――最終的にどんな人物像を目指したんですか?
結果的に“自分だったらどうだろう”って考えたんです。優しいだけの男の人はいっぱいいるだろうし、じゃあ何かな? って思ったら、自分なら時間を忘れて過ごせられるような人間に付いて行きたくなるんじゃないかなって。だから3話での杏寿さんとのデートシーンではあまり「こうやろう」「ああやろう」とは考えずに自分の生の声や表情を出せるように意識しました。あの場面での僕を役として見てもらってもいいですし、一人の俳優さんとして見てもらってもいいですし。なんなら、あぁいう行為をする時の僕はあんなふうだって思ってくださっても…っていうのはもちろん半分冗談ですけど(笑)。それくらいなるべくお芝居にならないようにというか、呼吸でやっていたなって感覚でした。
――本当は偽物だったと判明した後については?
6話でハルちゃん(平岡祐太)に殴られるところは自分としてもスッキリしましたね。殴られた瞬間に「あっ…俺、悪いことしたんだ」という気持ちが自然と湧き上がってきて。「そりゃそうだよな」って感覚になれたというか。多分あそこで「何やってたんだろ」って気付かされた部分もあるんじゃないかなと思います。
――平岡さんが「殴られた後の山田さんの演技が印象的だった」と話されていました。
“痛い”ってことをシンプルに伝えたかったんです。殴られたから痛いっていうのももちろんですけど、このお話は騙されて浮気されて傷つくっていう、そういう『痛み』の物語だとも思っていたので。だからこそサラッと軽く流してニラみ返すのではなく、ちゃんと殴られた感触が伝わるように演じられたらいいなと考えました。