こんなにプロ野球の裏側を見せる作品はない!
――税金は、前年の収入を基準にしていますからね。
その税金を払うお金をきちんと残しておくことが必要。だから、夏之介はいつもお金のことを考えているんです。こんなにプロ野球の裏側を見せる作品はないですよね。
でも、あれが現実。特に夏之介はマメな性格だし、心配性だから人一倍気になるんでしょうね。
野球選手には2つのタイプがあって、お金があればあるだけ豪快に使う人と、翌年のことを考えてしっかりと生活設計を立てる人がいる。夏之介の場合は、間違いなく堅実なタイプですね。
――夏之介を演じる時に心掛けた点は?
夏之介はプロ野球の選手ですから本番に強いんです。それだけの実力もあるし。だけど「ここで打たれたらどうしよう…」という不安な気持ちもある。
マウンドに上がるシーンの時は、必ずそういう思いを抱きながらアフレコに臨んでいました。
ブルペンで投げている時とは違う感じですよね。ただ、夏之介にも格好いい一面があって、ここぞっていう時にすごい球を投げるんですよ。
とんでもない集中力を発揮するところは、やっぱりプロのピッチャーなんだなと思います。
――アフレコで苦労したことは?
せりふはもちろんですけど、モノローグとナレーションも全部自分でやっています。シーンによっては、せりふを言っているのにその裏でモノローグが入って、さらにナレーションをかぶせることがあって。
それぞれに、どうやって色をつけようかなと。台本にはナレーションと書かれているけど、実際声に出して読んでみてモノローグの方がしっくりくるかもしれないと思ったらテストで試して、監督に何も言われなかったらそのまま演じたりしたこともありました。
何回か収録していくうちに、何となく夏之介が自分になじんでくるんですよ。その時に、監督からもう少し不器用な感じに戻してほしいと言われたんです。
これが結構大変な作業で、最初の頃のちょっとオドオドしていた夏之介のことを思い出しながら演じたりしたことも。
自覚はなかったんですけど、夏之介と一緒に僕自身も少しずつ成長しているのかなと感じました。