季語さえ知らぬところからの始まり
――この番組が始まる前は、「俳句」のご経験はあったんですか?
一切ない。俳句を作ってくださいと言われた時に、「俳句って何だろう」と。五七五だってことは知ってますよ。けど、俳句を作る術を知らなかったから、「季語ってなんだよ」というところから始めて。
季語辞典を買ってきて読んだら、なるほどなと。“桜の花”というと、季語が2つ入っちゃうんだよ。花っていうのは桜を意味するんだよね。だから“桜の花”だと桜が2つになる。
ただ、ありがたかったのは、僕の父親がやっていたころのお芝居はセリフが七五調なのよね。歌舞伎もそう。
「花の司の牡丹でさえも 冬は菰着て 春を待つ」とかね。「セリフを歌う」っていうんだけど、これが日本人が一番耳に入りやすい言葉の数なのよ。
そういうお芝居をずっとやってたんで、セリフ回しが七七七五とか七七五七七とか、そういうリズムのある言葉が自分になじみがあったから、俳句もできるなと。舞台の役者であったことが、俳句に入りやすかったのかな。
――どんなところに「俳句」の魅力を感じていらっしゃいますか?
俳句って、自分が描きたいもの、感じたものを詠むんです。僕も俳句を始めたころに何も感じてなかったものまでも感じるようになったんですね。
それは何かって言うと、人の影、花びら、風、そういう細かいところまで気になるようになった。それがひとつの俳句の良さじゃないかな。
梅沢、フジモン(藤本敏史)、東さん(東国原英夫)の上位3人、それぞれ個性があって、同じお題でも描き方が違うんですよ。
きっと東さんには俺の描くような俳句は詠めない。フジモンもそうだし、俺も他の二人の世界が描き切れない。フジモンは夢のあるような俳句の読み方、東さんは独特の東節、それぞれの個性を上手に描いている。
そこをちゃんと見抜いているところが、夏井先生はなかなかの俳人ですね。
互いに信頼し合う仲
――梅沢さんご自身の個性、強みというのは何だと思われますか?
見たまんま。お題の写真を見せていただいて、自分の中で消化して詠むというのが俺の読み方。今回は、それがうまくいったかなと思う。あれ以外のことやってみろといわれたら、できないな。
――梅沢さんにとっての最大のライバルは?
タイトル戦で最多・2冠の東さんですね。今回は久々に上位3人がそろって争うことになったけど、東さんが出る回には出ないほうがいいかな、と思う。
そのくらい意識している。努力すればいいってもんじゃなくて、俳句って陸上とか水泳で1位、2位を争うなんて世界じゃないんだよね。世界観が違うからね。
自分が持ってないものを持とうとして手に入れたとしても、東さん以上の句は詠めないんじゃないかな。東さんの持ってる武器が見えないのよ。
何か武器があれば、その武器を持って戦うけど、その武器が分からない。戦いの場が山なのか川なのか道なのか、それが見えないので同じ土俵で戦う術がないというのかな。
役者やっている人たちには「見てまねろ」って教えがあるんだけど、東さんの俳句にはまねられないほどのものがある。そこは越えるに越えられないので素直に認める。
でもね、いつまでも“無冠の帝王”なんて言われたくないですからね。さっきも言ったけど、今回は自分流の描き方でうまくいったと思ってるんで、当然1位を狙ってますよ。
――「プレバト!!」といえば梅沢さんと夏井先生の大バトルが名物となっています。夏井先生やMCの浜田さんに対する思い、そこから生まれるプレバト人気の秘密を教えてください。
3人の掛け合いが楽しいと、僕もよく言われます。二人ともとても息がいいというか、何を言ってもきちんと返してくれる。僕が多少のフォークボールを投げようがワンバンしようが関係ない。みんな拾って打ち返してくれるんです。きっとみんな番組が好きで、お互いを信頼してるからバンバン好きなことが言えるし、それがきっと面白くなってるんじゃ無いかな。
――いつも番組を盛り上げてくださる、「プレバト!!」には欠かせない“ミスタープレバト”梅沢さん。最後に視聴者の方にメッセージをお願いします。
俳句は小さなお子さんからお年寄りまで日本語ができれば誰でも楽しめる素晴らしい文化です。
せっかく四季があって美しい言葉がたくさんある日本に生まれたんだからぜひみんなに俳句をやってみてほしい。
プレバトをきっかけに俳句人口が1人でも増えてほしいですね。俳句は認知症にもいいらしいので僕はまだまだトップで頑張りますよ!