今も“蒼井そら”をできている自分がいてよかった
――演技の注目ポイントを教えてください。
警察に追われているときや夜の街に立つときの、復讐(ふくしゅう)心を持った鋭い表情です。復讐心を持ったことがプライベートではないので、監督から「もっと鋭く」と指摘されました。特に、人を刺すシーンの撮影は難しかったですね。
一方で、旦那と過ごすシーンでしか笑顔になれないので、そのときはできるだけ優しく柔らかい表情を作って、演じ分けるようにしています。
――ちなみに、咲子は真犯人を追い続けますが、蒼井さんがこれまで諦めず追い続けてきたものはありますか?
今回のドラマのお話は、13年前に出演したテレビ東京の「ドラマ24『嬢王』」(2005年)のプロデューサーの森田昇さんが「この作品をするなら蒼井さんでやりたい」と言ってくださって実現したんですよ。だから、女優として演技を続けてきてよかったなって思います。
私を選んでくださった森田さんの思いを、記者会見のときに聞いて、感極まってしまいました。何度か芸能の仕事を諦めそうになったこともありましたけど、今もあのときと同じように“蒼井そら”という名前があって、“蒼井そら”をできている自分がいて本当によかったです。
――撮影現場での裏話はありますか?
私、細かい作業がすごく好きで、撮影中にすぐ台本が開けるように、自分の出演シーンごとに付箋を貼っているんです。「シーンごとに色変えて、番号付けて…分かりやすい! でーきた!」って満足するようなタイプなんですけど(笑)。撮り終えた後にその付箋を取っていって、だんだんなくなっていくのを見るのが、達成感があってすごく好きなんです。
――主演なので結構な付箋の量になったんじゃないですか?(笑)
そうなんです! 主役ってこんなに出番があるんだって思いました。「あれ? これもう全部じゃん!」って(笑)。台本の全方向が付箋で埋まってますけど、全部貼っていってます。
――スタッフ、共演者とのエピソードがあれば教えてください。
スタッフは「嬢王」でご一緒させていただいた方々なので、「(みなさんのところに)戻ってきたな」と感じています。現場は和気あいあいとした雰囲気で、みんな仲が良く、朝早くてもゲラゲラ笑っているような楽しい現場です。共演の大浦龍宇一さんや永澤俊矢さんたちとも、めちゃくちゃ仲が良いので、それは画には出ないように気を付けてます。
――久々に再会したスタッフの方々からは、何かお言葉はありました?
「13年経っても変わらないね」って言われました。変わらないっていいことなのか?って思ったんですけど(笑)。でも確かに自分の中でも、年は重ねてますけど、あのときと変わらない気持ちで現場にいるなと思うんですよ。こんな現場だったなとか、みなさんも変わってないなって感慨深くなることもありますね。
――では最後に、ドラマを楽しみにしている視聴者へメッセージをお願いします。
蒼井そらとは真逆の人間なので、見ていて新鮮さがあると思います。咲子は、逃亡犯なのに人をすぐ信用して騙されたりとか、これから咲子に仲間ができるのかとか、スリルな展開がたくさんありますので、ぜひ見ていただきたいです。
また、この作品は中国圏にも売り込みをしていくと聞いたので、中国のファンの方々にも見ていただけることになったらうれしいですね。中国の方は、私にどんなイメージを持っていただいているのか分からないですけど、ドラマを見るとびっくりするんじゃないかなって思います。主役としてのお芝居を見てもらうのは初めてになるので、本当に見てほしいです。