――「やれたかも委員会」のメンバーは相談者から“忘れがたき夜の思い出”を聞きますが、お二人は恋愛話を聞くのはお好きですか?
佐藤:僕は個人的には結婚して大分たつし、今の嫁と一緒に住んで20年以上なので、本当に俳優としてダメだなと思うんですけど、恋愛でドキドキしていた10代の時の感覚をどうしても思い出せないんですよ、すでに。寂しいんですけど。
だから、話を聞くのは楽しいです。若い後輩の俳優たちと呑みながら。孝之とも呑みますけど、この間はもっと下の27~8歳くらいの子と呑んで、両方とも「今の相手とどうしよう」って悩んでいたみたいで、相談に乗りました。
俺は酔った時たまに、若い子にものすごくこっぱずかしいアドバイスをしたりします。
「『一生この人だ!』って思う人と一緒になればいいんだよ」とかどうしようもないアドバイスをするときありますね。
自分は何もネタがないですけど、恋愛の話を聞くのは好きです(笑)。
山田:僕は恋愛話を聞くのは嫌いです。
佐藤:あはははは!(笑)
山田:「知らねーよ」って思いますね(笑)。相談もされないですね、恋愛に関しては。
佐藤:「好きなようにしろよ」って感じか。「やりたいようにやればいいんだよ」って。
山田:仕事での苦悩とかなら相談に乗れることもありますけど、恋愛のことは相談されても全く解決に導けないです。「あなたがどうにかやるしかない」っていう。
佐藤:まぁでも、実は俺も若い子の恋愛相談を聞いた時になんとかしてやろうとは全く思ってないです(笑)。でも聞くのは好き。最近になってですけどね。恋愛に限らず人の話を聞いていろいろと刺激を受けるのが好きです。
――共演経験が多いお二人ですが、今回の現場で初めて知ったお互いの一面などはありますか?
佐藤:今回に限らず山田孝之のお芝居って「すごいな」と思うところってたくさんあって。
たくさんあるうちの一つに過ぎないんですけど、例えば僕なんかはこのせりふに比重を置いてバッ!っといくなっていうのを、孝之はなんというか、平気でどぶに捨て…どぶに捨てるって言葉が悪いですね、簡単に捨てちゃうんですよ。ふぁ~って。
それがすごく良かったりするんですよね。具体的にどことは言えないけど。
山田:ええ(笑)、気になるなそれ。
佐藤:絶対欲はあるはずなのに、欲目が見えないんですよね。品がある! 俺みたいなのはすごく品がない。
すごく変な言い回しをすることによって…俺もそれが全てではないけど、そういう欲目がない役もやりたいと思っているけど、そういうのをよくやっている俺らからすると、俺らじゃないな、俺からすると…。
山田:「ら」ってムロ(ツヨシ)さんとかですか?
佐藤:ははは!(笑) いや、でも俺とかムロに限らず、多いよ、そういうタイプ。
山田:いや、ただ単に(そういうポイントに)僕が気付いてないだけだと思いますけど。
佐藤:いやそんなことない、気付いていると思うよ。
山田:(笑)。
佐藤:気付いていてあえて捨てているんだと思うよ、ドブに。…ドブじゃなくてもいいんですけど(笑)。
他にも、これも手あかがついた言葉ですけど、“プランが見えない”んですよね。見ている人が「ああ、こうやろうとしているんだ」っていうのが見えない。
今回気付いたことではなくて、他の作品でもそうなんですけど。あらためてそれを感じましたね。
山田:僕は、今回、短期間の撮影で泊まり込みだったんですけど、二朗さんと「なぜ忙しいスケジュールで睡眠時間が限られている中、俳優は酒を飲んでしまうのか」ということを話し合って、答えが出たんです。
現場でお互いに寝る前に飲んできたっていう話になって、「4時間後には起きなきゃいけないっていうときにお酒を1杯2杯飲んじゃって、睡眠時間が3時間になってしまう。
1時間でも多く寝た方が良いのになんで飲んでしまうんだ」という話になって、すごく考えて悩んで…。
それで、フィジカルを休めるのかメンタルを休ませるのか、どちらを重要視するのかだと僕は思ったんです。メンタルをリラックスさせる方が重要だと体が勝手に思っているから、そうしてしまうんだという結論に行き着いたんですよ。
佐藤:これはもう宇宙で一番正しい答えです。その通り。
やっぱり一日ずっと撮影だと疲れているじゃないですか。そしたらね、ホテルに帰って寝るだけなんてものすごくメンタルをやられる、そんなの。その代わり、睡眠時間削って酒を飲むことでフィジカルは確実にやられるんだけど(笑)。
山田:3時間と4時間でそんなに変わるのかって言ったら、どちらにしても睡眠不足なんです、絶対に。だから撮影の合間合間に絶対寝るんです。
30歳超えてからは1時間でも長く寝た方が良いと思っていたんですけど、でもこういう状況になった時になんでそうしちゃうのか考えたら、この結論に行き着きました。
二朗さんの言う通り、たぶん宇宙の中で一番正解に近いと思います(笑)。
佐藤:「飲むと寝るの3時間くらいになっちゃうな」と思いつつも、飲み始めると2杯目くらいに「もういいよ!」ってなっちゃう。でもそういう時間が心のケアにすごくいいんです。
山田:今回の撮影でそれに気付きました。とても大きなことに気付きました。
佐藤:「のめたかも委員会」です。あるいは「ねれたかも委員会」(笑)。
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