映画「焼肉ドラゴン」で鮮烈デビューの大江晋平、芸能界入りのきっかけは「東方神起」
2008年に日本と韓国で上演され、演劇賞を総なめにした伝説の舞台「焼肉ドラゴン」が鄭義信監督によって映画化。1970年、高度成長の真っただ中の大阪を舞台に、故郷を失い、日本で小さな焼肉店を営む6人の家族が時代の荒波に飲まれながらも力強く生きていく姿を描く。一家の末っ子で、学校でいじめられ、心を閉ざす時生を大江晋平が演じた。「これまで人前での演技経験がなかった」と語る大江は、本作が映画デビュー作。劇中のナレーションも務め、物語の重要な役割を担っている。
――まずは、時生役が決まったときの感想を教えてください
事務所のワークショップやレッスンは受けていたんですが、人前で演技したことはなかったので、何よりも一番不安が大きかったです。うれしさもありましたが、大スターの方々と一緒に演技をするなんて、僕でいいのかなと。
――時生は、学校でいじめに遭い、言葉を話せなくなってしまっている少年。演じるのは難しかったのではないですか。
台本には、時生のセリフは「あ…」しか書いていないんです。台本を頂いた時点で、僕なりに考えた「あ」で、とりあえずやってみようと演じてみたのですが、監督の思った感じとは違うことがあったため「もっと熱量を」と言われたことはありました。どう表現するか、自分でいろいろ変えないと一緒になってしまうし、その部分はすごく難しかった部分です。でも、時生ほどじゃないけど、僕も中学のときにそれに近い経験があるんです。そこはすごく時生の気持ちが分かりました。
――劇中で一番印象に残っているシーンは?
いじめられ、精神的に追い詰められた時生が、棒を振り回すところ。自分は、そんな性格でもないし、普段怒らないんですよ。怒りとか悲しみを外に出さないタイプなので、難関でした。棒を振り回して、草をバサバサ叩いていくシーンだったのですが、元々テニスをやっていたので、出来上がった作品を見たら、「テニス打ちになっちゃってるな~」と感じましたね。あと、時生がお母さん(イ・ジョンウン)に耳かきをしてもらうシーン。時生は家族と直接かかわるシーンは少ないんですけど、そのシーンは幸せで、時生が安心できるというところを見せられたシーンだったと思います。お母さんが近くにいて温もりを感じましたね。
――共演者の方とはどんな交流がありましたか?
(長女・静花役)真木よう子さんと、撮影の合間に京都に出掛けました。河原町や鴨川沿いを歩いたり。カフェに入ったり、ボウリングに行ったりしました。「これからどういう俳優になりたい?」などのまじめな話から雑談までいろいろお話させていただいて、遊びながらもすごく勉強になる時間でした。桜庭ななみさんとは、休憩スペースで僕がK-POPのダンスの動画を見ていたら、「何見てるの?」と声を掛けてくださって。「踊ってみてよ」と言われて、そこで踊ったことがあります(笑)。
映画「焼肉ドラゴン」
6月22日(金)公開