桜庭ななみ、「焼肉ドラゴン」での取っ組み合いのケンカシーンに「全力で感情をぶつけました」
演劇界を代表する劇作家・鄭義信による伝説の舞台を映画化した「焼肉ドラゴン」。高度経済成長の時代、大阪の地方都市の一角で小さな焼き肉店を営む在日一家を描いた人間ドラマだ。その一家の美人三姉妹の長女を真木よう子、次女を井上真央、そして三女を桜庭ななみが演じている。今回、歌手を夢見る自由奔放な三女を演じた桜庭にインタビューを敢行! 撮影の裏話や映画の魅力、実は中国語と韓国語を話せるという桜庭の女優としての目標を聞いた。
――「焼肉ドラゴン」への出演が決まったときの感想を教えてください。
台本を読む前に舞台版のDVDを見せていただいたのですが、いろいろなメッセージが含まれた作品だなと思いました。それを伝える上でどの役も欠けてはならない存在で、もし一人でも欠けたら、この家族の愛は伝えきれていなかっただろうなと思います。だからこそ、私に美花という役を演じこなせるのか、不安はありましたが、とてもやりがいのある役だったので、この役をまっとうしたいなと思いました。
――桜庭さんが演じられた美花という女性をどのように捉えていますか?
すごく真っ直ぐで純粋な気持ちを持った女の子だと思います。何事にも自分の気持ちにまっすぐに突き進む。そういう純粋さがキラキラしているなと思いました。
――長谷川の奥さんを演じられた根岸希衣さんとの取っ組み合いのケンカも印象的でした。
かなり派手にやりあってましたよね(笑)。根岸さんは歌もパワフルだし、メイクも衣装も強烈で。でも、美花としては自分の好きな人のために勝たないといけないという思いがあり、全力で感情をぶつけました。
――二人の女性からそんなにも思われる長谷川って、ある意味、すごいですね。
憎めないキャラクターなんですよね。かわいくて守りたくなる存在というか。
――では、三姉妹を演じられた真木よう子さん、井上真央さんの印象を教えてください。
真木さんはすごく見守ってくださる存在でした。私がどう演じたらいいか悩んでいるときにも丁寧に教えてくださいました。井上さんは私の冗談につきあってくださったり、励ましてくださったり。二人とも本当のお姉ちゃんのような感じでした。映画が公開してしまうと会えなくなってしまうので、ちょっと寂しいです。
――本当の家族のような雰囲気が現場にあったということですね?
そうですね。撮影をしていくうちに絆が深まっていきましたし、いい意味で気を使わなくていい居心地の良い存在でした。
――この映画で描かれるような、言いたいことを言い合う家族像についてはどう思いますか?
私も家族だからこそ思ったことを言い合いたいと思うタイプなので、見ていて「わかる、わかる」と思いました。結婚したいと言い出した美花に対して、お母さんがものすごく怒るシーンがあるんですけど、愛情があるからあそこまで怒れるんだと思います。私も母親に幼いころに怒られた日のことを思い出し、あのシーンは特に共感しました。
6月22日(金)公開
監督・脚本=鄭義信/出演=真木よう子、井上真央、大泉洋、桜庭ななみ、大谷亮平ほか