――武田さんは元気な姉御肌の温子を演じるにあたり、「自分とは反対の人物で難しい」とおっしゃっていたようですが、イメージされた人物などはいましたか?
武田:それが、イメージに当てはまる方や人物などがいなかったんです。草野(翔吾)監督にも最初に「例えばどの映画のどの人物をイメージしていますか?」と伺ったのですが、「いや、いない」という回答で。ですので、温子の存在感をどのように出せばよいか考えて撮影に臨んだのですが、温子は温子で宏伸や周りに影響されている部分もあることを感じてからは、いろいろな人に生かされながらお芝居できたなと思います。私ひとりではあのキャラクターは演じられなかったなと思いますね。
――温子の祖父・芳郎役の小松政夫さんとのシーンは、「この祖父がいて温子がいるんだな」という、血のつながりが感じられました。
武田:あの日の撮影が一番緊張しましたね(笑)。監督にも「(小松さんに)負けないように行ってこい!」と言われたので、思い切ってぶつかっていきました。
――高杉さんはこんな従姉がいたらどうですか?
高杉:武田さんは、現場ではあっちゃんのようにお姉さん気質で僕らを引っ張ってくださったのでとても助かりました。が、もちろん年上でお姉さんではあるのですが、少し抜けているところもあって…(笑)。そんな面もあったので、自分たちは「着いていこう」とより思えました。何気なくみんなをまとめてくれる存在でしたね。
あっちゃんが実際にいたら、僕自身は宏伸と一緒でどこか憧れを抱くんじゃないかと。でも、僕は宏伸とは違って頑固で負けず嫌いな部分があるので、「あっちゃんがそうなら、こっちはもっと頑張らなきゃ」ってなると思います。
武田:撮影以外でも、真宙くんはそういうところありました!
高杉:本当ですか?(笑)
――高杉さんの負けず嫌いな部分、ぜひお聞きしたいです。
武田:宏伸の親友・敦役の前原滉くんが、よく私たちにクイズを出してきたんです。
高杉:ありましたね!
武田:私たちは答える側だったのですが、クイズを続けるうちに謙虚で控えめだった真宙くんがだんだんと「負けたくない!」っていう本気の顔になってきて。
高杉:でもお互いに負けず嫌いだから、なかなか譲らなかったです(笑)。
武田:私も「絶対に負けたくない!」って(笑)。
――結局どちらが多く正解できたんですか?
高杉:武田さんの勝ちでした。
武田:真宙くんはすごく悔しがっていて、「あっ、意外と負けず嫌いなんだな」って感じましたね(笑)。
――なるほど(笑)。では作中のシーンについてもお伺いしたいのですが、何といっても太陽に照らされた美しいひまわり畑が印象的です。
高杉:自分はあんなにたくさんのひまわりを見たことがなかったので圧倒されたのと同時に、若干怖くもありました。一面のひまわりがこちらを向いていて、迫ってくるような感じも受けて(笑)。ただ、宏伸自身も「このひまわりを撮りたい!」と思って行動したのでしょうし、もし僕もこういうところで撮影できるならテンションが上がるなと。「これは撮りたいと思うだろうな」と思いました。
――後日、2人が再びひまわり畑を訪れて、温子が宏伸に語りかけるというシーンも心に残りました。少ししおれたひまわりと夕日が相まって、とてもすてきな映像になっていますね。
武田:あのシーンについては「ひまわりが少ししおれているのが美しかった」と真宙くんとも話していたのですが、実は台本上ではひまわり畑に到着して「あっ、まだしおれてないな」というせりふがあったんです。ただ、ロケに行ったらひまわりがかなりしおれてしまっていたので、監督が「せりふを変えて、雰囲気も夕方のいい感じを生かして撮ろう」と対応した、自然と生まれたシーンでもあるんです。映像を見ると、ひまわりのしおれ具合が逆に良かったと感じましたし、しおれている花を美しいと思えるのは神秘的だなと思いました。
――そうだったんですね! その雰囲気で、温子の語りもさらに気持ちが乗った感じですか?
武田:そうですね。なんだかひまわりたちも一緒にお芝居してくれているんじゃないかというくらい、本当にいい空気感の中でやらせていただけたと思います。
2018年6月23日(土)シネ・リーブル池袋、イオンシネマ全国順次ロードショー
出演=高杉真宙、武田梨奈、松本穂香、水野勝、前原滉、田村杏太郎、黒崎レイナ、森田望智、前原瑞樹、吉沢悠/小松政夫
原作:誉田哲也(光文社文庫刊)
監督・脚本・編集=草野翔吾
■公式サイト
http://sekachou.com