助演男優賞は吉田鋼太郎! 主演・田中圭は『今どき、こんな役者いない』【ドラマアカデミー賞】
2018年春クールに放送されたドラマを対象に開催した「週刊ザテレビジョン 第97回ドラマアカデミー賞」の受賞作が発表。助演男優賞は、「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)で、主人公・春田創一(田中圭)に思いを寄せる上司・黒澤武蔵を演じた吉田鋼太郎が受賞。
乙女キャラ全開で同作の“ヒロイン”を務め上げた熱演に「吉田でなければ成立しない役」と絶賛の声が相次いだ。そんな吉田に名シーンの裏側と共に作品や共演者への思いを聞いた。
――「カラマーゾフの兄弟」(2013年フジテレビ系)「花子とアン」(2014年NHK総合ほか)に続いて3度目のご受賞、おめでとうございます。しかも「おっさんずラブ」は6冠です。受賞のご感想をうかがえますか?
この作品はSPドラマ(2016年)放送当時から反響が異例に多くて、面食らいまして。連ドラ化されて、そこからの反響もさらに大きくて。今振り返ってみますと、本当に良質なラブストーリーですし、男性か女性かに関係なく、人が人に恋する情熱や、悲しさ、切なさや幸せなど、いろいろな要素を美しく、そして一生懸命、熱く描いていたドラマだったなと。今考えると皆さんもそういう部分を観たかったんじゃないかな、と思います。
――元々2016年の単発版がきっかけとなって連ドラ版が制作されたわけですが、春田創一役の田中圭さんとは、単発版からお芝居を変えようといった相談はされましたか?
ほぼ暗黙の了解と言いますか、僕らの共通意識として「1シーン1シーン、命懸けでやんないとダメだね」って流れには自然となっていましたね。例えば男性と抱き合うとかは不慣れなものですが、ちょっとでも照れがあったりしては絶対ダメだと。僕なら本気で武蔵としてはるたん、田中圭を愛していないといけないな、と。そうじゃないとおちゃらけたものになってしまうし、やるからには見ている方の胸を打たなければいけない。
――ちなみに舞台を含めても、男性を好きになる役のご経験は?
ちょっと思い出してみても、あんまりないですね。映像では実際、男性だけじゃなくて、女性との恋愛ものというのも、あまり演じたことがないのでね(笑)。ましてや抱き合ったり、大きな声で愛を告白したりというのも、対女性ですらやったことがない(笑)。僕にとっては割と、初めて尽くしのドラマでした。
――田中さんとのお芝居で、化学反応を感じられた部分もありましたか?
やっぱりこのドラマを引っ張っていったのは田中圭だと思うんですよね。彼の皆から愛される、真っ直ぐで正直なキャラクターが、本当に素晴らしい春田を生み出したなと。僕はとにかく圭についていく感じ。で、圭のリアクションをいっぱい引き出してあげる。そうすると圭がますます面白くなってさらにいい芝居をしてくれるようになるので。本当に圭とのお芝居が楽しかったですね。
――例えば、第2話で牧(林遣都)と春田を巡って喧嘩する場面では、自分の方が春田のことを理解しているという牧が春田の悪いところを挙げるのに対して「はるたん、そんなんじゃねぇよ!」と思わずアドリブが出たと伺っています。
(脚本の)徳尾(浩司)さんがそういうのは心得ていらっしゃって、直前にも武蔵が興奮して同じことを何回も言ってしまう女子高生みたいになっていたり、ツボを押さえたセリフを書いてくれるので、それに乗っかっていった感じですね。林遣都というのも何かが乗り移るタイプの俳優なんで。彼もこっちにぶつけるエネルギーがすごくてね。そこに右往左往する春田を挟んで、こっちはそれをどこかで面白がりながら…どうしたら圭が困るだろう、と。そうすると遣都の方も本当に全身全霊で来るから、じゃこっちも全身全霊で受けねば!って(笑)。そうやって2人でやっていくとますます圭が困るっていう、今回の「おっさんずラブ」なりの面白い三角関係の図式が、一番表れたシーンだったんじゃないかと思いますね。