松田翔太、二面性を持つ慶喜を演じ「完全に悪役なんだなって思います(笑)」
鈴木亮平が主演を務める大河ドラマ「西郷どん」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。
9月9日に放送された第34回では、ついに松田翔太演じる一橋慶喜が将軍の座についた。
慶喜は、一橋家の当主、そして遊び人の“ヒー様”として2つの顔を持ち、島津斉彬(渡辺謙)らに次期将軍候補として担ぎ出されていた人物。下級武士だった頃の主人公・西郷吉之助(鈴木)、橋本佐内(風間俊介)は「将軍に興味などない」という冷めた“ヒー様”をやる気にしようと奮闘し、3人の間には友情も芽生えていた。
しかしながら、幕府の中心人物となった慶喜と吉之助は徐々に敵対する関係に。しかし、7月29日に放送された第28回では、吉之助が慶喜に「我らもはや、ここまででございもす」と言い放ち、そこから2人の争いは激化していった。
そんな“西郷吉之助最大の敵”である慶喜を松田はどのように演じているのか、インタビューで聞いた。
鈴木亮平の印象は「言葉のいらない安心感があります」
――慶喜を演じることになった時は、どのように思いましたか?
以前、大河ドラマ「篤姫」(2008年)で徳川家茂を演じていたので、「今度は慶喜か」と不思議な感じがしました。家茂を演じていた時に、慶喜がすごくプレッシャーをかけてきて、苦しい思いがあったので嫌な印象はあったんです…。
ただ、家茂が亡くなったあとの世界をどう見られるのかなと期待も膨らみました。
それに、鈴木くんとは彼のデビュー作で共演していて、一緒に食事にも行った仲なので、今回、久々にご一緒できてすごくうれしかったです。
――鈴木さんが演じている吉之助の印象はいかがですか?
鈴木くんは柔軟な方で、1シーンずつを切り詰めて演じるのではなく、全体の大きい世界を見ながらやっているので、すごくやりやすくて、温かみを感じました。
僕らが対立しているシーンでも、彼からは愛情を感じるんです。嫌われている気がしなくて、仲間の一人として受け入れてくれているような気持ちになって、ついて行きたくなります。言葉のいらない安心感があります。
――「西郷どん」での慶喜の描かれ方についてはどのように思いますか?
事前に慶喜の人物像について調べた時は、冷静で戦略的な人物だと思っていました。でも、このドラマの中では、割と感情的で“乱暴なお殿様”のような印象で、完全に悪役なんだなって思います(笑)。
僕は、ヒールにどこかで同情できる部分があるので、ヒールを演じるのは好きですね。
でも、ずっと怒鳴っているので、慶喜が主役だったら一年間の大河ドラマは大変だと思います(笑)。
――では、そんな慶喜を演じる上で意識したのはどんな部分でしたか?
僕は演じる役に、筋を見つけることをいつも大事にしていて、そこから見えてくるものを表現しようと思っているんですが、大河ドラマにおいては少し違っているんです。
大河ドラマは長期間の撮影の中で役も変わっていくので、役の筋だけにこだわってしまうと、それがぶれた時に混乱してしまう可能性があると思うんです。
特に、今作で脚本を担当されている中園(ミホ)さんの描く慶喜は、謎めいた部分も多いので、そこを楽しもうと思って演じています。
「ここで笑ってください」と言われたらその通りに笑ってみて、その時にどんな気持ちになるのかを現場で感じながら演じているイメージです。
――せりふだけではなく、表情だけで慶喜の影を表現している場面も多いように見えますが、演技のポイントなどはあるんでしょうか?
悲しそうな目や、影のある表情などの演技は過度にしないよう心掛けてます。
言葉の裏にある気持ちを大げさに出し過ぎないことで、将軍という立場の人間の強がりも見えたらいいなと思っているんです。
その表情から、“何を考えているのか分からない人”として、観ている方に想像していただきたいです。