矢野聖人「かなえたい夢の一つだった」
――まずは矢野さん、初主演と聞いたときの心境を聞かせてください。
矢野:特別だから「わ~い!」ってことはなかったですけど、20代のうちにかなえておきたい夢の一つだったんです。舞台で主演して、ドラマで主演して、そして映画でも主演を20代のうちにするというのが。そのことへの喜びはありましたね。なので、「わ~い」ではなく、「よし、やるぞ!」という気持ちでした。
――太一というキャラクターを演じていかがでした?
矢野:太一は難しかったですね。僕が今までに演じたことのないキャラクターですし、普通とちょっと個性的なところの中間を突きたかったので、そこは見る人によっては難しく見えてしまう部分ももしかしたらあるかもしれません。そこのバランスを自分の中で取ったり、監督に相談したりして、キャラクターを固定するというのが難しかったです。
――武田さんは男勝りなところもある女性の役でした。
武田:そうですね。男勝り+プライドが高くて強がっているだけの女の子なんですよね。本当はすごくネガティブだったり、迷っていることがたくさんある中、みんなの前では気を強くしていなくてはいけないという子が、和歌山に来て、太一や望美に会って変わっていくという心境を表現できたらと思って演じていました。
一番意識していたのは、東京から和歌山に来て歩いているシーンと、東京に戻る時に歩いているシーン。見ている方にどう感じていただけるかは分からないですけど、その時の歩き方で唯の気持ちを表現できたらいいなって思い、撮影に臨みました。
――今回もきれいな蹴りを放っていましたね。あれは台本からあったんですか?
武田:台本からだっけ?
岡本:いや…。
矢野:なかったよ。
武田:いくつか台本にないことを、監督から現場で「やって」と言われたことはあるので。蹴りもそうでしたね。
――矢野さんが蹴りを受ける設定でした。目の前で見ていかがでしたか?
矢野:女性がアクションをやるときにちょっと出る不慣れな感じなどはなくて、「あぁ、これは本当に人を蹴りにいっているな」って(笑)。形もすごくきれいで、(蹴られた後の)吹っ飛びがいもありましたね。
武田:ははは(笑)。
――岡本さんは方言を使っていましたね。
岡本:そうですね。実は台本には標準語で書かれていたんです。役の設定として「(岡本の出身地でもある)和歌山市から来た女の子でいい」ということだったので、せりふを自分で和歌山弁に直して演じていました。でも、完全に和歌山弁にしてしまうと(地元の人以外には)何を言っているか分からないから、「ちょっと分かりやすくできる?」ってリクエストされたりもしました。
――望美という役を演じてみていかがでしたか?
演じやすかったですね。博物館の資料を作ったり、標本を作ったりしている学芸員という“裏方”なんですけど、だからこそトレーナーとか飼育員に対して憧れを抱いているし、ちょっと劣等感も持っているし、「自分なんて」って言っちゃうタイプの女の子なんですね。でも、誰かが笑っているのは好きで、近くで見ていたいという女の子。
私もどちらかというと自分が前に出るよりも、お芝居だったら脇役などで出るのが好きだし、他人を支えるのが自分の好きでもあるので、(今回の作品では)役作りは全然なく(役に)入れたのが大きかったですね。
全国で公開中
出演=矢野聖人
武田梨奈
岡本玲
近藤芳正(特別出演)、鶴見辰吾
監督=藤原知之
脚本=菊池誠
主題歌=清水理子「Colorful~あなたといた時間」
公式サイト=http://www.bokujira.com/
(C)2018 映画「ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。」製作委員会
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