「宇宙戦艦ヤマト2202」いよいよ最終章上映! 神谷浩史「キーマンはずっとヤマトと命運を共にしてきた」
「さらば」という古典を現代によみがえらせたのが「2202」だと解釈しています
――キーマンの第七章での選択に関して、神谷さんご自身はどう思われましたか?
神谷浩史:台本を頂く前にその結末だけを福井さんに言われて、表面上はすごく冷静に聞いていたんですけど、内心は「うわぁ、福井晴敏にスゲーネタバレされたわ…」と思っていました(笑)。
いざ台本を読んでみると、それは納得せざるを得ない選択だったので、そこに至るまでにキーマンがヤマトクルーたちと培ってきた信頼関係が大切になってきます。信頼関係は時間の経過でしか育むことができませんが、通常のTVアニメは半年程度で終わってしまうところを「2202」はおよそ2年かけてそこまでたどり着いています。
劇中で彼らが過ごしている時間はもっと短いですけど、その間で起きている出来事は本当に激動で、常に命の危険に晒されていて、最善の選択をしなければ生きていけない状況です。
例えば、半年間毎週アフレコをしてその感情に至ることも可能だとは思いますが、この2年という長い間作品に関われたことで、先程お話ししたようなベテランの方々とのやりとりだったり、小野(大輔)くんや(鈴村)健一くんたちと一緒に過ごしたこともプラスされていきます。
それによって、その選択に至る際の納得の度合いが高まったんじゃないかなと思っています。2年間のアフレコはよっぽどですけど、その長さは決して無駄じゃなかったですね。
――長きにわたって「2202」に関わられてきて、今改めて「宇宙戦艦ヤマト」はどのような作品だと思いますか?
神谷:これは前から変わっていないですけど、やっぱりSFの古典ですよね。宇宙戦艦ヤマトの歌を歌えれば大体の話が分かるので、浦島太郎や桃太郎といった昔話と同じくらい誰もが知っているものです。
古典は事あるごとに新しい解釈を得て、今の人たちに伝わりやすいようにその時代の優秀なストーリーテラーが再構築をして、その時代に合った物語に姿を変えて届けられていくものだと思います。
そうなっていくための布石として「宇宙戦艦ヤマト2199」があって、今回の「2202」は福井さんがメスを入れて、「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」という古典を現代によみがえらせているという解釈を僕はしています。
古典という言葉から古いもののイメージを持たれてしまうと困るんですけど、いろいろなものに影響を与えた全ての原点であって、それ以上のものはないというところにたどり着いたもの。そこに対してどうやって手を加えていくんだろうと最初は思っていましたけど、担当されるのが福井さんだと分かった時点で、この作品は絶対に面白いものになるだろうと確信していました。
大船に乗った気持ちで作品に参加できるなというところからのスタートで、収録中もその気持ちは全然ブレなかったですね。こんなに難しい物語を書く人で、日本中の人が知っているベストセラー作家で、最初は福井さんが何を考えているのか分からなかったので怖かったんですけど(笑)。変なTシャツ着て毎回アフレコに来てくれるし、ありがたいなと思っていました。
限定版ドラマCD「誰も聞いてはならぬ裏ヤマト」の台本をもらった時、驚きのあまり「こんな台本も書くんですね?」って福井さんに聞いたら、「はい、書くんです」と答えられて(笑)。そこからは気軽に話しやすくなりました。時間を経て、作品を通して、関係値を築いていくことができました。「宇宙戦艦ヤマト」に対するイメージ、「2202」に対するイメージは全く変わらなかったです。
2019年3月1日より上映中
【HP】http://yamato2202.net/
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