1年あることがありがたい
――前作では2クール、今作は1年通して菊村栄を演じることになりますが、演じる上での苦労などはありますか?
栄は脚本を書くことが仕事ですが、役者も何かを作り出すことが仕事なので、物を作るという意味ではあまり違いはないんです。
「やすらぎの郷」にいる人たちは、みんな何かを作る仕事をずっとやってきたという部分で共通しています。僕自身も役者であり、本も書いたことはあるので、脚本を書くことがどういうことかも多少なりとも分かります。
それが自分自身を表現する技術としては“優しい”のです。役者には演じることが自分にとって一番優しいテクニックだし、舞踏家やメークアップアーティストなど、今回もさまざまな職業の人が出てきますが、その人たちはそうやって自分を表現してきたんです。
なので、それほど難しい役ではない。ただ、一番難しいのは、大きなテーマをいかに汲み取って、役を作るのではなくテーマを役の中に放り込んでいけるか、ということです。
今回は1年ありますが、逆に1年かけないとテーマを表現しきれない。いろいろなテーマを組み立てて、集まったときに一つの物になるので、1年あることがありがたいと思います。