最優秀作品賞は「3年A組―」 福井雄太P『菅田将暉は“真面目で一生懸命”の権化』【ドラマアカデミー賞】
「見る人の共感を呼ぶ“とっかかり”を作ってくれたのは永野芽郁」
――最終回、屋上で一颯が最後の授業を行なった後、警察に連行されるというラストになったのはなぜですか。
そもそも脚本の武藤さんが、教師がSNSの声とリアルタイムで議論するというゴールを考えてくれ、それは面白いというのがそもそもの企画でもあったので、第1話からそこに向かってドラマを展開していきました。
その後、一颯が屋上で手錠をかけられ、生徒たちが「先生!」と悲しい顔で見送る。その後、連行されていくシーンは、最初はいらないんじゃないかとも思ったんですよ。蛇足にならないために、生徒役のキャストに「君たちが先生を求めているのは屋上までで終了です。地上に降りてきたときは、僕たちはもう大丈夫だからねという顔を見せてください」とお願いしました。
それで、生徒たちも本当に良い表情になって、一颯からもそう言われるし「卒業おめでとう」とも言ってもらえる。そのときの一颯もすごく良くて、手錠をかけられている人間の笑顔が取れると思わなかったので、そこでも菅田将暉はさすがだなと思いました。
――助演女優賞を受賞した永野芽郁さんはいかがでしたか?
このドラマの難しいところは、一颯がいくら正しいことを言っても、監禁しているわけですから法的には犯罪者じゃないですか。それでも先生が正しいと思えるのは“さくら”(永野)がいるから。さくらが心の底から信じている人を見る目で一颯を見ているから、自然と「それでいいんだ」ということになるんですよね。
さくらを永野さんではなく、違う人がやっていたら、一颯の言葉があそこまで浸透したのかなと考えると、見る人の共感を呼ぶ数センチの“とっかかり”を作ってくれたのは、間違いなく永野芽郁。僕としては感謝しかないですね。