日本の4K放送ってどうなの?世界の4K放送事情と比べてみた!
日本の4K放送開始の取り組みは2013年からスタート
では、日本ではどのように4K放送が進められてきたのだろうか。その始まりは、テレビ放送が地上波デジタルに完全移行した翌年の2013年まで時をさかのぼる。
2013年5月に、テレビ局やメーカー、通信事業者等70社は共同で日本の4K8K放送実現に向けてNexTV-F(一般社団法人次世代放送推進フォーラム)を設立。翌6月には総務省ICT成長戦略会議「放送サービスの高度化に関する検討会」にて、4K8K放送に向けてのロードマップを策定されている。
それによると、2014年に4K、2016年には8Kの試験放送を、衛星放送等において開始するとされ、2020年には4K8Kの放送が本格的に普及していることを目指すとある。
このロードマップに沿う形で、2014年6月にNexTV-Fは4K試験放送のため「Channel 4K」での無料放送を、衛星放送やケーブルテレビでスタート。同時に4K動画配信の試験も行われている。平日は正午から夜7時、土日祝日は朝10時から夜10時という限られた時間の中ではあるが、ドキュメンタリーやスポーツといった4K番組が放送されていた。
ただ、当時4Kを見られるテレビの数は限られていたので、ご存じでない方も多いかもしれない。「Channel 4K」は各社の4K実用放送サービスの開始と共に、2016年に終了している。
日本の4K実用放送サービスの発端となったのは衛星有料放送のスカパーだ。2015年3月には「スカパー!4K総合」と「スカパー!4K映画」が開始され、さらに12月にはケーブル放送各社による「全国統一編成による4K放送」のコミュニティチャンネル「ケーブル4K」もスタートしている。またNetflixが日本で4K動画を配信しはじめたのもこの頃だ。
4K放送のチャンネル数を増やした秘策とは?
2016年8⽉1⽇にNHKが「BSによる4K・8K試験放送」を開始。2年後の本放送開始に向けて、スポーツイベントの4Kパブリックビューイングが各地で開始されるなど、4K放送の魅力の徐々に一般へ浸透してきた時期だと言える。
さらに2017年に1月11日には4K放送に参入する放送局が決定。あとは本放送開始まで待つだけ…とはならなかった。それまでの衛星放送の電波では、すべてのチャンネル数を満たすことができなかったのだ。
そこで新たに採用されることになったのが“左巻き”の電波だ。それまで使われていた衛星放送の電波は、衛星から見て全て“右巻き”にらせん回転している「右旋円偏波」というものだった。それに加えて“左巻き”の「左旋円偏波」を使うことで、チャンネル数を多く割り当てることが可能になった。2017年4月には、この“左巻き”での試験放送が開始されている。
現在の新4K8K衛星放送では、NHK BS4Kと民放系チャンネル(BSフジ4K、BS朝日4K、BS-TBS 4K、BSテレ東4K)が“右巻き”、そのほかのスカパー!4KやJ SPORTSといった専門チャンネルとNHK BS8Kは“左巻き”に割り当てられている。
“右巻き”のチャンネルは、これまでのアンテナ設備で問題ないが、“左巻き”の電波には対応していない。専門チャンネルやNHK BS8Kを見るために、別に対応アンテナを用意しなければならない理由がこれである。
さまざまな試験放送を経て、2018年7月にはBSでの試験放送も終了。こうして12月1日に「新4K8K衛星放送」がスタートした。さらに8Kの実用放送は世界初。そう、日本は世界最先端の高精細画質でテレビを楽しめる唯一の国なのだ。
4K放送先進国の日本で4K放送を楽しもう!
これまで見てきたように、日本、そして世界各国で4K放送への取り組みが活発に行われている。そして、4K放送の実用化が進むと共に、4Kテレビもより普及が進むとみられている。
実際、日本における2018年3月までの4Kテレビの出荷台数は、2016年3月までに比べて約2倍となっており、さらに野村総研が昨年12月に公表した資料によると、日本における4Kテレビの保有世帯数は、2019年度には1360万世帯、2020年度には1862万世帯となることが予想されている。
4K放送が“当たり前”になる時代は、すぐそこまで迫っている。世界でも有数の4K放送先進国の日本。あなたも4Kテレビで、世界最先端の映像体験をしてみてはいかがだろうか?