監督が未来の若者たちに託したメッセージだったのかなと
――これまで映像化されてきた“柳原像”との違いはありますか?
もちろんストーリー的には近いところがあるし、柳原が抱えているものはとても難しくて厳しいとは思います。ただ、今回は最後に若者であり、一人の人間である柳原が未来に向かって歩いて行くような姿が描かれていて。これまでの作品とは違う柳原が見られると思います。
それは、鶴橋(康夫)監督が未来の若者たちに託したメッセージだったのかなと。自分たちで未来を作っていく中で、かなりしんどい経験をしながらも自分の原点や本当の良心に従って生きていかなければいけない時がある。
それは苦しいことかもしれないですけど、すごく明るい未来につながっていくんじゃないかな。
――演じる上で意識した点は?
患者である佐々木(柳葉敏郎)さんをはじめ、いろんな人たちとの距離感を考えながら演じていました。大学病院の中では下っ端という立場ではありますけど、人としての品格というか自分がやってしまったことを含めてどんなことが起きても周りの人たちへの感謝の気持ちやリスペクトを忘れてはいけないなと。
きつい状況の中にも明るい未来があるかもしれないという心を意識しました。
――それは、新しい“柳原像”にもつながりそうですね。
柳原は過酷な経験をしますけど、たぶんたくさんの中から選ばれてしまった一人だと思うんですよ。そういう意識を持つことがプラスなのかマイナスなのかはまだ分からないんですけど、常に希望を持ってやっていました。
それだけは、絶対に崩したくなかったんです。将来、柳原が講師や教授になった時、自分が経験したことを胸張って次世代の医者に伝えられるような人になるよう演じたいなと。そうすれば、診察しているシーンがなかったとしても、自然と病院で働いているという“喜び”が見えてくるんじゃないかなって思ったんです。