骨太な医療ドラマで、緊張するなという方が無理な現場
――今回演出を担当した鶴橋(康夫)監督の印象は?
「白い巨塔」という作品は大作ですし、日本を代表する俳優さんたちがたくさん出演されています。30代の僕なんて、まだまだ若手。骨太な医療ドラマであり、僕の役は弁護士ということで緊張するなという方が無理な現場でした。
でも、鶴橋監督は、その緊張を取ろうとしてくださる方なんです。「俳優が自由でいられる空間づくりが大事」という監督の言葉がとても印象的で。監督が作ってくださる現場の空気感にかなり救われました。
――そんな中、弁護士・関口(斎藤工)と裁判で対峙(たいじ)するシーンも見どころの一つですよね。
斎藤さんとのシーンは、とても面白かったです。今回が初共演なんですけど、共通の知り合いがいてよくお話をうかがっていたんです。斎藤さん自身、普段からおっとりしていて、すごくゆったりとした空気が流れている方。
それが関口という役の中にも見えてきたので国平としての在り方みたいなものが少し変わったりもしました。本番ではお互いにいいコミュニケーションを取りながら、台本に書かれていること以外で楽しくキャッチボールができたんじゃないかなと思います。
――新しい時代「令和」の“和”にちなんで、最近和んだエピソードは?
和んだというより、幸せだなと思ったのはイチロー選手の引退試合で国歌独唱を担当させていただいたことですね。ずっと夢だったんです。
――イチローさんのファンなんですか?
小学校の6年間、ずっと野球をやっていたんです。チームのキャプテンでピッチャー。子どもの頃からイチロー選手のファンで、野球カードを集めていました。
今でも大事に持っていますよ。イチローさんは僕にとってのスター。自分が歌を始めた時に、いつか国歌独唱をする機会に恵まれたら、野球場のグラウンドに立ちたい。イチローさんがいる場所で歌いたいと思っていたんです。その夢が超満員の東京ドームでかないました。
――それは、すごいことですね。
僕が国歌を歌っている時、僕の声に合わせてスクリーンにイチロー選手の顔がアップで映ったんです。あの瞬間は和んだどころの話じゃないですね(笑)。
本当に震えるぐらい感動しました! 東京ドームのグラウンドに立っているだけでもすごいことなのに、イチローさんの目の前で歌っているわけですから。もう、泣きそうになりました。それぐらいうれしかったです。
取材・文=月山武桜