スピードワゴン小沢一敬が「最高にシビれる映画の名セリフ」を紹介! 第5回の名ゼリフは「明日から世界は私たちの思いのまま」<ザテレビジョンシネマ部>
映画を愛するスピードワゴンの小沢一敬さんならではの「僕が思う、最高にシビれるこの映画の名セリフ」をお届け。第5回は、ひとりの天才少女をリーダーにした高校生の犯罪チームが仕掛ける、世界を股に掛けたカンニング・プロジェクトを描いたクライム・エンターテインメント『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』('17)。中国で実際に起きた事件をモチーフに製作され、タイのアカデミー賞と呼ばれるスパンナホン賞史上最多12部門を受賞した作品から、どんな名セリフが飛び出すか?
第5回『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』
――まずこの映画、いかがでしたか?
小沢「シンプルに面白い映画だったよね。俺は良い映画には3種類あると思ってて。それは、ストーリーがすごい映画、映像がすごい映画、演出がすごい映画。この映画はどれも優れてるんだけど、特に演出がすごいと思う。音楽入れるタイミングとか、画面の切り替わりの絶妙さとか。昔観た(アシュトン・カッチャー主演の)『バタフライ・エフェクト』('04)って映画は、始まって2分ぐらいから“オモシロ”が止まらなかったけど、この映画もそれと同じ。始まった時から最後まで、ずっと“オモシロ”が続くんだよね」
――確かに出だしから引き込まれる作品です。
小沢「演出がスピーディだから全然飽きない。それがすごいと思う。よく言う、“ダマされたと思って観てみなよ”って映画だよね。これを観たから人生が変わったとか、そういうのはない作品だけど、決して観て損はしないと思う。特に最近、“教養”というものについて考えてた時期だから、俺にとっては非常に興味深いテーマだったし」
――ちなみに、小沢さんが考える“教養”とは?
小沢「まず、本を読んで得られるのが“知識”で、“知識”が増えると話せる量が増えるでしょ。で、その“知識”を使って何をしゃべるかが“知性”であって、逆に何をしゃべらないかが“品性”だと思うの。例えば、知ってるからってベラベラなんでもしゃべるのは品がない。つまり、その“知性”と“品性”を両方兼ね備えた人こそが、“教養”のある人なんじゃないかと」
――なるほど。さすが、考え抜かれた答え。
小沢「だから、勉強が抜群にできる若い天才が、苦い経験を通して、“知識”だけじゃなく、“品性”みたいなものも学んで成長していくこの映画を観られたことは、すごくいいタイミングだったと思う。あとさ、この映画のポイントって、あの主演女優の子が美人すぎないところだと思うのね(笑)」
――天才的な頭脳を持つ女子高校生リン役を演じたチュティモン・ジョンジャルーンスックジンですね。彼女は映画初出演にして初主演だったそうです。
小沢「あのむちゃくちゃ頭の良い役の女優が、むちゃくちゃ美人だったら、この映画の印象は全然違ったよね。あの女優だからこそ、主人公がまさしく“品性”のある女性に見えたし。だから、配役の力っていうのは不思議だなと思ったね」
――この映画は、中心人物である4人の学生全員が、それぞれ良いところも悪いところも併せ持っているのが絶妙ですよね。
小沢「そうそう。俺がTVでエピソード・トークをする時にいつも思うのは、“自分は常に被害者であり加害者でいよう”ということなのね。つまり、いつでも当事者として傷を受けていようと。単なる目撃者になって、遠くから人のことをワイワイ言うのは品がないと思うから。人のウワサ話で食ってるようなやつなんて大嫌い。そういう意味でこの映画は、4人全員が被害者であり加害者、すなわち全員が当事者のお話だから、そこもすごく好きなところだね」