<試写室>「サイン」大森南朋&飯豊まりえの新感覚な“師弟コンビ”に心躍る!
第3話Review
テレ朝の法医学モノというと、誰が何と言おうと手取り、足取り、名取裕子(ごめんなさい)の「法医学教室の事件ファイル」シリーズが思い浮かぶのだが、そこに風穴を開けるべく(?)、そういう狙いかどうかはともかく、風穴を開けてくれそうなのがこの「サイン」だ。
主人公が破天荒だけど腕がいい、ある種の一匹狼的な解剖医。木曜の夜には型破りな白衣姿の主人公がハマる。
パワハラ・セクハラ、ハラスメントのオンパレード的な態度は玉に瑕だが、解剖医としての腕はピカイチで、第3話ではもはや刑事なんじゃないか?くらいの勢いで事件解決に向けて奔走する、役どころ。
てっきり冷たい仕事人間なのかと思いきや、飯豊演じる景を必死に守ろうと犯人と格闘したり、なんだかんだ言葉とは裏腹に気にかけたり、もしかしたら分かりにくいツンデレ男なのかも。
古き良き男と言ったところか。暴言吐きつつも素直じゃない優しさが憎めない。特に終盤、伊達を相手に発した景にまつわる発言は意外過ぎてグッときた。
そしてその“柚木イズム”を良くも悪くも継承しつつあるのが飯豊演じる景だ。これまでもその片鱗は見せていたが、第3話では覚醒した感じ。
いや、覚醒するにしてもすごい方向にいき過ぎでしょ。まさかあんなにキュートな顔で柚木もビックリの違法行為スレスレのことをしちゃうとは。
しかもそれをネタに柚木を焦らすんだから、もう“ドM”にはたまりませんな。この新感覚な“師弟コンビ”が今後どうなっていくのか、冷や冷やしながらも心は躍りっ放しだ。
ついでに第3話では、景がピンセントであるものを突き付ける姿にはゾクゾクさせられた。
加えて、松雪演じる管理官・千聖のサングラス&パリッと足ワザ、脱力系の今どきボーイに見せかけて実は秘めたる正義感がかなりアツそうな高杉扮(ふん)する高橋。
あのピュアな声で「そんなに出世が大事っすか」というセリフを言われると、なぜかいつも勝手にウッ…と罪悪感に苛まれるけど、冷静に考えるとこんな素っ頓狂な記事を書いているヤツが出世するわけないだろう。大きなお世話だ。
キャラクターだけでなく、解剖のシーンや殺人のシーンもかなりリアルだと定評のある本作。生々しい描写にもこだわりが見られ、適当にお茶を濁されるよりよっぽど好感が持てる。ただし、食事をしながら見ると結構ドキッとする場面もあるので、ご注意を。
長くなったが、悪い意味ではなく、“対立構図”がすごく分かりやすいし、ある意味THE・警察ドラマ的な第3話。
柚木にしろ、景にしろ、それこそ刑事さながらの動きを見せてくれるので、1週休止になってサイン・ロスを感じていたファンもきっと満足しそうだ。
それにしても、小木茂光氏や木下ほうか氏が政治家関係の役で出てくると「絶対このキャラ何か悪いことをウラでやっていそう…」って気になってしまうのはなぜだろう。(失礼)
でも、そういう人がいないとこの手のドラマは成り立たないわけで、貴重な存在なのは間違いない。
むしろ、そんなキャラ要らないよってさりげなくサインを送ったとしても、簡単に必要だと“論破”されてしまいそうだ。
文=人見知りシャイボーイ