「きのう何食べた?」内野聖陽が主演男優賞! 『続編では西島さんの「おいしぃーい♡」が見たい』【ドラマアカデミー賞】
回想の告白シーンは「こっちもうれしくなりました」
――男性カップルであることをどう演じようと思いましたか?
料理と食事のシーンに象徴されるように、男同士のカップルが自然に寄り添って自然体で暮らしているということが、今を生きる人たちを勇気づけられるかもしれない。「だからこそ、あまりゲイとして分かりやすい表現はやりたくないね」と最初に西島さんと話しました。もちろんリアルなカップルを考えれば、当然、キスなどのスキンシップはするだろうけれど、それはあえてやらず、そういう性的な表現に対してもほとんど禁じ手にしているところが、この作品が受け入れられた一つの要因なのかなと思います。
――しかし、シロさんとケンジのラブラブなやり取りを見ていると、内野さんが原作より踏み込んで性的なことを匂わせようとしているように見えました。
実はそうなんです。暗示的な部分ではそういうのがないとおかしいと思って、寝室の2人を想像させるようなことを常にやらかそうとしていました。撮影したのはスタジオセットではなく、実際のマンションだったので、「ベッドルームがあるんだから、このまま行っちゃいけない?」と芝居を続けると、「それはやりすぎ」と言われたり…。そういう部分はベールに包む方針だったので、「じゃあ、最終話の(ケンジがシロさんの髪を切り後ろから抱きしめる)ハグは大事だね」という話をして、そこはこだわりましたけれどね。あの場面は向き合ってキスしてもいいぐらいだけれど、西島さんや監督と話し、このあたりだろうというところに落ち着いたんです。2人でエビチリを作るラストシーンも、中江和仁監督から「台本の続きの会話を作って」と急に言われたので、「(エビの)おしりがプリプリ」とかくだらないこと言って一人で楽しんでたり(笑)。僕の演じるケンジってそういうこと言いそうじゃないですか。原作のケンジは言わないかもしれないけれど(笑)。
――そういったコミカルな場面では、見る人を笑わせようと意識していましたか? 第4話の回想部分では、シロさんがシャンプーをするとき顔に布をかけたまま「うち来る?」と言う場面でのケンジのリアクションが面白かったです。
僕は自分についても他人の演技でも、笑わせようというのが出過ぎると白けちゃうんです。ふっと笑えるぐらいが好き。だから、女性的な動作をすることでの面白さは意識せず、ケンジとして真剣にやれば自然に面白くなるだろうと思っていました。あのシーンも、原作や台本を読んで「人生最大の勇気を出しての告白なんて、すごくすてきだな」と思っていたから、演じるのはプレッシャーだったんです。でも、実際にやってみたら、西島さんが息をするたびに布が顔に張り付いて、心拍数の上がっている感じがすごく伝わってきて「緊張して告ってくれたのね」と思うと、こっちもうれしくなりました。それでドキドキして後ずさり壁にひっついちゃったのですが、そういう真面目にやったがゆえの無意識のアクションを、監督たちがうまく拾ってくれましたね。