本当はもう少しおちゃらけたかったんですけど…(笑)
――現場の雰囲気はいかがでしたか?
ずっと張り詰めていましたね。スケジュールも凝縮されていたので、気持ちの余裕も、あまりありませんでした。でも、だからこそ先ほどのように、役柄に入り込めたのかなと思います。
学生時代から大人になるまで、一人の人生を丁寧に演じられる機会をいただけたことは本当にありがたい経験でした。
真面目なシーンが多くて、本当はもう少しおちゃらけたかったんですけど…(笑)。
――たしかに、普段の千葉さんのイメージとは少し違いますね。
でも、よく覚えているのは、“穴熊”という将棋の戦法を聞いたとき、助監督さんに「レッサーパンダとかもあるんですか?」ってボケてみたら、「カニとアヒルならあります」って真面目に答えてくださって。張り詰めていた雰囲気の中で、すごく和みました(笑)。
――ユーモアもある現場だったんですね。竹中直人さんなど、そうそうたる俳優陣から学ぶこともありましたか?
今回、僕は役に入り込むと、うまくオンとオフの切り替えができなくて、そういう時、竹中さんたち先輩方を見ていると、切り替えが上手でずるいなって思ってました。
本番では感情に訴えかける演技をしながら、合間にうまく力を抜いていて、僕もこんな俳優になれたらいいなと感じますね。
それと、学んだこととは違うんですが、渡辺哲さんとはデビュー作以来久しぶりにお会いして、当時少しだけお話したことを覚えていただいていたことがうれしかったです。
――第1話では学生服姿も。30歳とは思えないほどお似合いでした。
現場で着たときには「まだいけるね」という声が多くてうれしかったです。
いいのか悪いのかはわからないんですけど、30歳になっても若く見られることが多くて、学生時代から30代にかけて一人の役柄として濃密な時間を過ごすというのは、今の自分だからできるということなのかなと思います。
キラキラした学生の作品に出演することが少なくなってきた分、この作品のように一人の人生をもっと演じていきたいです。
たとえば“朝ドラ”とか、大河ドラマとか…(スタッフをチラリ)。
――ちなみに、大河に出るならどんな役を演じてみたい、という野望はありますか?
いただいた役にはどんなものでも挑戦したいですが、歴史上の人物でよく「似合いそう」と言っていただけるのは森蘭丸ですね。でももう年齢が…(笑)。
けれど、どんな役を演じたい、というよりも、どう演じていきたいというのが大事だと思っていて、自分の感じたことに現場の考えも上手に織り交ぜながら、いろんな役に挑戦できたらと思っています。
取材・文=イワイユウ
毎週日曜夜10:00-10:50
NHK BSプレミアムにて放送