「恐怖人形」萩原利久インタビュー 「“寝坊に負ける恐怖”に勝るものは無いんじゃないか(笑)」
「人形なのに生身の感触があるとゾワッとしました(笑)」
――先ほども「ホラー作品は初めて」というお話もありましたが、演じる上で感じた難しさはありましたか?
やっぱりやることが多いなと思いました。ただ(役者と)一対一で話しているわけではないので。アクション的な要素も出てきますし、怖がる表情(を演じる)とかもありますけど、そういったことよりも、人形とのやり取りのシーンではいろんなことを考えながらやらなきゃいけないなと思いましたね。
もちろん(自然な演技をするために)考えないでやりたいですけど、頭のいろんな部分を使って演じていました。映画を見ていただくお客さまには僕らのリアクションでどれだけ人形への恐怖心を感じとってもらわないといけないので、そういうところは普段お芝居をする時以上に意識していました。
正解が分からなかったですし、みんなのリアクションで人形がどんなものかを伝えなければいけないと思ったので。みんなのリアクションも受けながら、人形に向いてどう演じていくかとか、やること一つ一つがすごく新鮮でしたね。普段使わない神経を使った感覚ですね。
――予告編には巨大化した人形に襲われるシーンもありましたが、そんな人形と実際に対峙してみていかがでしたか?シーンの裏話なども教えてください。
迫力はすごいですよ。2mというサイズって、僕らの日常ではなかなか接する機会がない大きさなので。ましてや人形だから、顔の大きさといい(人間とは)頭身的にも違うし、すごく迫ってくる恐怖感はあの人形に感じさせられましたね。
この距離(目の前)に立つと、とてつもなく大きいんですよね。顔が大きいと距離以上に近く感じるというか。あと、手で握られるとちょっと…。人形なのに生身の感触があるとゾワッとしましたね(笑)。
「これから何十年も戦っていかなきゃいけない恐怖」とは!?
――人形がチェーンソーを手にしているシーンもありましたが、襲ってくるシーンで萩原さんが一番「怖い」と思ったシーンは?
(人形は凶器を)何でも持ってますからね。包丁も持つわ、チェーンソーも持つわ…。なかなかしぶといですし。でも、ドアを開けて閉めようと思ったら腕を掴まれて、見たら目の前に人形がいるっていうシーンは、映像的にもビックリしてもらえるポイントだと思います。
あと、終盤で足が動かなくて走れないのに(人形が)迫ってくるシーンは、もう心折れますよね(笑)。同じ「迫ってくる」というシチュエーションでも、今回はいろんなパターンを味わいましたね。
体が動く時は「恐怖」や「焦り」の感情が出てきますけど、あの瞬間は恐怖よりも「絶望感」が強かったですし。シーンによって全然違う感情が生まれてくるのは、演じていて楽しかったです。
――作品にちなんで、最近ご自身の中で恐怖を感じたエピソードを教えてください。
なんだろう…。でも僕、人生において「寝坊に負ける恐怖」に勝るものは無いんじゃないかと思っています(笑)。朝7時起きとなると「今日は早く寝ないと」とか心構えもあると思うんですけど、意外と午後から用事がある時は一度起きても「もうひと眠りするか~」ってなりがちですし。
そうしてハッと気がついたら結構時間が経っていて「うわっ!」みたいな。あの恐怖は何度味わっても慣れないですね。寝てしまったことへの罪悪感はしょっちゅう感じていますし。これからも僕の人生、何十年も戦っていかなきゃいけない恐怖なんじゃないかなと思います(笑)。一番身近であり一番怖いです。