1月公開予定のカンヌ映画祭受賞作プレミア上映も!日大映画学科学生主導の映画祭12月13日開幕
――まず、学生が主催する映画祭の意義と、企画の進め方を教えてください。
古賀:学生にとっては、映画祭を企画して実現することが単位になるということです。毎年15人前後のゼミ生がいるのですが、学生一人一人が企画書を作成し、話し合って絞り込んでテーマを6月くらいに決定します。その企画を煮詰めて、ユーロスペースの支配人にプレゼンをして、承諾を得る。上映の交渉を含めて夏の間に作品を決定して、チラシが出来上がるのが9月。半年以上をかけてじっくりと取り組みます。
ユーロスペースという映画館を舞台に、興行という形で企画するので、映画館にとっては、観客が入らないと困るわけです。通常の興行と同等の動員ができる企画でないと、一週間も使わせてはくれませんからね。
――学生のアイデアから、どのようにテーマを絞り込んで行くのですか?
古賀:基本的には多数決です。1、2週間に一度集まって、僕の意見も含めて、徐々に候補を減らしていく。プレゼンの時は2つに絞りましたかね。
佐々木:16人全員が企画書を作成して、最後に残ったのが「移民問題」と「スポーツ」でした。最終的には、日大のタックル問題もある中で、自分たちの声を伝えたいという思いから「スポーツ」をテーマにすることになりました。
――その企画者が佐々木さん?
佐々木:はい。私は小中高と柔道をやっていて、父の転勤の影響もあって多くの指導者と巡り合ったのですが、体罰などの報道に接するたびに、指導者と生徒はもっと良い関係になれるはずなのにと思っていました。何かできることは無いかとの思いから「スポーツの光と影」という企画を発案しました。
――菅原さん、大浜さんはどんな提案を?
大浜:私は「ジャーナリズム」というテーマで出しました。同じテーマで企画した人がもう一人いましたが、「ジャーナリズムと映画」というテーマは間口が広すぎたのかもしれません。今回上映する「セックス・チェック 第二の性」や「ザ・ビッグハウス」のような目玉作品を見つけられなくて敗れた感じです。
菅原:私は「冤罪」「裁判」をテーマにしました。わりと最後の方まで残りましたが、このテーマは「ユーロスペースがやりそう」ということもあって選ばれませんでした。
――ゼミ内でのプレゼン戦はどのように?
佐々木:設定したテーマの強さ、興行的なメリットを説明しますが、最終的には集めた作品のラインアップが重要だった気がします。
――興行性も問われるでしょうか?
佐々木:メンバーの中には若い人に見てもらいたいと意識した人もいます。映画離れが叫ばれる中で、若者の動員につながるテーマとして、「スポーツ」をテーマに選んだところはあるかもしれません。
大浜:「ピンポン」なら入るんじゃないかとか(笑)。
菅原:私が企画した裁判ものの映画祭だと、やっぱり若い人は足を運ばないのではないか。シネフィル、ご年配の方向きになると予想されたので、スポーツだと少しは入るかなという期待もありました。
佐々木:オリンピックが開催されることは少し意識しました。国立映画アーカイブでオリンピック記録映画特集をやるんですけど、進めるうちに、それに対抗した企画にしようという気持ちも生まれて。
――企画書に上映作品案を示したということですが、佐々木さんはどんな映画を選定していたのですか?
佐々木:いちばんは「マイフェニックス」(1989年・東宝系)という、日大のアメフトに関係する作品を上映したかったのですが、東宝に尋ねても、西河克己映画記念館に問い合わせても、素材が無いと言われて。それで上映をあきらめました。アメフト作品は何かを上映しようということで「ザ・ビッグハウス」の上映が決まりました。
古賀:「マイフェニックス」は、日本大学創立100周年記念の映画ですが、プリントがどこにも無い。大学が隠してるんじゃないかと思ったけど(笑)、結局見つからなかったですね。
開催日時 : 2019年12月13日(金)~12月19日(木)
開催場所:東京・渋谷ユーロスペース(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 3F)
主催 : 日本大学芸術学部映画学科映像表現・理論コース3年「映画ビジネスⅣ」ゼミ/ユーロスペース
上映協力 : アークエンタテインメント/アイ・ヴィー・シー/アスミック・エース/アルバトロス・フィルム/エタンチェ/KADOKAWA/キュリオスコープ/神戸映画資料館/国立映画アーカイブ/松竹/新日本映画社/Celluloid Dreams/東風+gnome/東宝/日活/ノマド・アイ/ファントム・フィルム/ブロードウェイ/ポイント・セット/ロングライド/Park Circus
前売り券/1回券900円、3回券2100円
当日券/1回券一般1300円、学生・会員・シニア1100円、3回券2850円
公式HP:http://nichigei-eigasai.com
公式Twitter:@nua_eigasai2019