シリアスな物語の中に登場するたい焼き
――記憶障害という難しいテーマですが、実際に自分がそういう立場になったら…と考えると、どうですか?
仲野:それは実際にそういうことになってみないと分からないですね。
衛藤:私は受け止められないかもしれないです。こよみは行助さんから毎日、事故のことや記憶障害のことを聞かされますけど、それを受け止めているところがすごいなと思います。
――前日までの記憶がないこよみは毎朝起きるたび、行助に同じ質問を繰り返しますが、言い回しの違いは意識しましたか?
衛藤:そこはこよみにとって毎日同じ朝だし、同じ気持ちで言っているせりふなので、特に意識はしなかったです。逆に、その言葉を受けて返す行助を演じた太賀くんの方が大変だったと思います。
仲野:大変というか、行助は誠実で優しい人だけど、どこまでも優しくはいられないというジレンマはあったと思います。優しくしてあげたくてもできない、もろさが行助の人間味につながっていると思ったので、そこは慎重に演じました。
――そんなシリアスな物語の中に登場するたい焼きがおいしそうでしたね。
仲野:衛藤さんが作ってくれたたい焼きがおいしくて。それだけでも気持ちがホクホクしました。
衛藤:また太賀くんがおいしそうに食べてくれるんですよ。たい焼き作りは一週間くらい掛けて練習したんですけど、自分で作れるようになったのはうれしかったです。
仲野:なかなか自分でたい焼きを作る機会なんてないもんね。現場のスタッフの誰が作るよりもおいしかった。
衛藤:助監督さんよりうまくなっていたからね(笑)。
取材・文=青木孝司
2月7日(金)より東京・シネマート新宿ほか全国順次ロードショー
出演=仲野太賀、衛藤美彩
三浦透子、坂東龍汰、古舘寛治、川瀬陽太
河瀬直美/萩原聖人/村上淳/でんでん
原作=宮下奈都
監督=中川龍太郎
脚本=梅原英司、中川龍太郎
公式サイト=https://kiguu-shizukana-ame.com