<ニッポンノワール>賀来賢人&武藤将吾が見せた“ドラマの新境地”「3A」連動、最終回はリアルタイム
「新しい!」このドラマには何度もそう思わされてきた。武藤将吾氏が脚本を手掛け、賀来賢人が主演する「ニッポンノワール―刑事Yの反乱―」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系)のことだ。12月15日放送の最終回では、放送日時と同じ12月15日夜10時30分から55分間の出来事をリアルタイムで描くという。挑戦を続ける意欲作の背景には、挑戦を積み重ねてきた日テレ日曜ドラマ枠の土壌があった。(以下、第9話までのネタバレがあります)
「ニッポンノワール」は刑事ドラマ!?
思えばこの作品、初回スタート前から得体の知れない“新しさ”が漂っていた。
賀来演じる記憶喪失の主人公・遊佐清春は刑事だが、福井雄太プロデューサーは「このドラマは皆さんが想像される『刑事ドラマ』とは全く違う、ある種常軌を逸した物語になる」と予告。「主人公を含めた刑事全員が容疑者!」の謳い文句もかなり刺激的だった。
そして初回冒頭、ヒロイン・碓氷薫(広末涼子)はすでに死亡しているというパンチの効いたオープニング。薫殺害事件の捜査会議では、清春と同僚刑事たちが殴る蹴る、投げ飛ばすの大乱闘。福井Pの宣言通り“刑事ドラマらしさ”からかけ離れた展開に「なんなんだ、このムチャクチャな刑事ドラマは」という思いもよぎった。
しかし、そこから物語は薫殺害犯と10億円強奪事件の真犯人という2つの謎を軸に加速度的に展開。見る側の「次はこうなるんだろう」という予想を確信犯的に覆していった。
清春が取り戻す記憶の断片がストーリーを進めるピースとなり、第5話では10億円強奪事件の真犯人が薫自身であること、6話では極秘組織“ニッポンノワール”が人体実験で人間を“作り替えて”いたことが判明。物語は刑事ドラマの枠組み自体を飛び越え、SF要素まで取り入れ始めた。
予想以上に機能した「3年A組―」の仕掛け
徹底して予想を裏切る展開に加え、視聴者を引き付けたもう一つの仕掛けが、武藤氏が脚本を手掛けたドラマ「3年A組―今日から皆さんは、人質です—」(日本テレビ系)と地続きの世界観だ。
「3年A組―」は、「ニッポンノワール―」と同じ日本テレビ日曜ドラマ枠で今年1-3月に放送された。
同作は、高校教師・柊一颯(菅田将暉)がウソにまみれた世の中をただすため生徒を人質に立てこもった10日間の物語。柊がネット社会の危うさをカメラ目線で訴えるクライマックスは視聴者にダイレクトに響き、最終回の平均視聴率は同枠最高(当時)の15.4%を記録した(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。
その半年後を描いた「ニッポンノワール―」には、3Aの元生徒やヒーロー・ガルムフェニックスとそのスーツアクター・ファイター田中(前川泰之)ら「3年A組―」のキャラクターが続々と登場。SNSではファンが「次は『3A』の誰が出るか」をネタに盛り上がった。