壮絶な告白シーンに反響! 木村佳乃“薫”の見せた強さと弱さ<アライブ>
“被害者遺族”としての苦悩
薫の抱える事情は重く、複雑だ。自分のミスが原因で人一人の命を奪ってしまったと自らを責め、心に献身的に寄り添うことにかすかな救いを見出してきた。
さらには薫自身も25年前に医療過誤で父親を亡くし、当時の執刀医を許せずにいる。医療過誤の被害者遺族の苦しみ、痛みがわかるからこそ、心に秘密を打ち明けることができない。
そんな薫の人物像に説得力を与えているのは、木村のコントラスト際立つ演技だ。
明るく前向きで技術も高く、患者からの信頼も厚い薫。第2話(1月16日放送)では、若くして乳がんを患った佐倉莉子(小川紗良)に自分も乳がんだったことを打ち明けた。
手術に不安を感じる莉子のため、薫は上半身裸になって再建した胸を見せ、きっぱりと言った。「ニセモノって思うかもしれないけど、時間が経つと愛情が湧くし、自分の一部になるよ。もし、傷が恋の弊害になるんだったら、そんな人は運命の相手じゃないから」。薫の強さが印象的に描かれたシーンだ。
一方、心の前では弱さが覗く。匠の手術のことを打ち明けようとしては、心の信頼を失う恐怖でひるみ、心に「心配してくれてありがとう」と感謝されると、言うべき言葉を見失ってしまう。強くもあり、弱くもある薫がもがき苦しむからこそ、視聴者の共感を呼び、胸を打つ。木村は、そんな薫の強さと弱さの対比を声のトーンや視線の動かし方でくっきり表現する。
迷いと苦しみの中にいた薫に引導を渡したのは、薫自身の言葉だった。5話、薫が父親の医療ミスの件で謝罪に訪れた関係者をなじる場面。「本気で謝罪する気があるなら、どんな方法でもするじゃないですか! できるじゃないですか!」という言葉は、そのまま薫自身に突き刺さった。その顔にはぼう然とした表情が浮かび、薫の悲痛な決意をうかがわせた。
そして、涙の告白。薫は、打ち砕かれた心との絆を取り戻すことができるのか…。2月13日(木)放送の第6話では、その後の2人の関係性が描かれる。