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吉田鋼太郎&横田栄司から見た“役者”小栗旬「色気も“人間のクズ感”もある」「魅力が服を着て歩いてる」

2020/02/06 07:00

座談会インタビューに応じた横田栄司、小栗旬、吉田鋼太郎(写真左から)
座談会インタビューに応じた横田栄司、小栗旬、吉田鋼太郎(写真左から) 撮影=永田正雄

小栗「よく『飲んで演劇論を交わす人』だと思われてるけど、実は…」


――久々の共演となりますが、率直なご感想は?

小栗:ものすごくうれしいです。このシリーズでずっとご一緒してきた2人ですし、鋼太郎さん、横田さん、(藤原)竜也がその後もいろいろやってるのを見るたび「俺はもうあそこに入ることはないんだ…」って思いながら過ごしてきたので。

横田:観劇の後、旬は俺たちの楽屋で必ずやさぐれてたもんね。

吉田:そうなの?

横田:みんなで「あいつ、実はうらやましいんじゃ?」って…。

小栗:(笑)。俺、よく「飲んで演劇論交わしてる人」みたいに言われるけど、実際はそんなことなくて。結局この人たちといると最後は演劇の話になるんですけど、俺はみんなの舞台を見に行って、みんなと酒を飲みに行くけど、みんながそのシーンについて語ってるところには入れないから…やさぐれて「何だこのつまんない話!」とか思ってたんですが、今回は俺もそこに共通意識を持って入れる! 純粋にうれしいですよね。

吉田:でもこの前、「ヘンリー五世」(2019年、彩の国シェイクスピア・シリーズ第35弾/松坂桃李主演)に来たときは、浮かない顔で楽屋に来たから「つまんなかったのかな?」と思ったら、「いや、面白かったんだけど…、俺、今度これできるかな!?」って。しばらくシェイクスピアから離れてるとすっごい不安になるみたいで…そうだよね?

小栗:(無言でうなずく)。やっぱりちょっと、間違いなくその筋肉は衰えているので、急ピッチでグレードアップしなくちゃいけないなと。

吉田:でも俺はね、言いたかないんだけど……今こうして3人並んでるだけで、ものすごいうれしい(照)。

一同:(爆笑)。

吉田:この蜷川組に…一応僕が継承させていただいている蜷川組に小栗が参加するということも、本当に僕はずっと望んでいたことで。蜷川さんとケンカしちゃって、ある時から遠ざけられてたからね(笑)。

亡くなる前に仲直りして「『ハムレット』をやろう」なんて話もしてたんですよ(※2016年10月に小栗主演で上演予定だったが、蜷川氏は同年5月に永眠。2003年の藤原竜也主演バージョンは、小栗の蜷川舞台初出演作でもある)。小栗もきっと残念だと思うんですけどね。

小栗:ね。それをやってるかやってないかでまたちょっと僕の演劇人生が変わっていたと思うから、こういう形で戻ってこられたと思うと非常に感慨深いですし、鋼太郎さんの言うようにここは蜷川組だと思っていて。

吉田:11年ぶりだよな。

横田:長かったねえ。

吉田:横田もさぁ、蜷川さんにはひどい仕打ちをされてるから(笑)。「ジュリアス・シーザー」(2014年、彩の国シェイクスピア・シリーズ第29弾/阿部寛主演)でもタイトルロールだったけど、ほぼ出て来ず、す~ぐ死んじゃったし。

今度こそタイトルロールらしい出番をって思うけど、「ジョン王」もタイトルロールっぽくないからな~!

小栗:あまりに行ったり来たりするからすごいよね。私生児の“行ったり来たり”はある種の正論があるけど、ジョン王はただ周りに振り回されて「あ、じゃあそっちにするわー!(軽)」だもん。

吉田:ダメな男なんだよね~!

横田:そういう小さい男を、スケール大きくね。僕はもう、大げさじゃなく、このシリーズに出ることが本当に一番の喜びで、大ファンでもあるので。命がけで精いっぱい、小狡いジョン王を目指します。

小栗:“スケールの大きな小さい男”を演じさせたら右に出る者がいない!

横田:(笑)。旬とは「タイタス・アンドロニカス」(2006年、彩の国シェイクスピア・シリーズ第13弾イギリス公演/吉田鋼太郎主演)から何度かやりましたけど、そのときは鋼太郎さんも僕も若かったし。

小栗:そうか、あのときの横田さん、今の俺より若いんだもんな~…。

横田:そんなことも思い出しながら。マイナーなお芝居こそ、鋼太郎さんのシェイクスピアに対する造詣や理解の深さが発揮されて、「こんなに面白いものだったんだ!?」ってなるから、期待してほしいです。

吉田:うん、「ジョン王」は悲劇、喜劇、歴史劇のシェイクスピアの中でも“問題劇”に分類されるけど、ちょっと寓話風にも読み取れるからね。それをどうやってダイナミックに見せていくか。

僕が以前、私生児を演じたときは大変だったんですよ。シニカルだけど、外野から批評するだけの薄っぺらいやつではない。肉体をもって渦中に飛び込んでいくパワーがあるから、今、最近海外で肉体的精神的に鍛えられてる小栗くんはまさにぴったり。

立ち回りより、だまし合いの心理合戦を全面に押し出して、ビジュアル的な遊びの要素を入れて普遍的に描きたいですね。

下に続きます
舞台「ジョン王」
<埼玉公演>
2020年6月8日(月)~28日(日)
会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
<名古屋公演>
期間:2020年7月3日(金)~6日(月)
会場:御園座
<大阪公演>
期間:2020年7月10日(金)~20日(月)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

<キャスト>
小栗旬、横田栄司、吉田鋼太郎ほか
<スタッフ>
作:W.シェイクスピア
翻訳:松岡和子
演出:吉田鋼太郎(彩の国シェイクスピア・シリーズ芸術監督)
制作:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団、ホリプロ
企画:彩の国さいたま芸術劇場シェイクスピア企画委員会
劇場HP:https://saf.or.jp/arthall/information/detail/1010

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