「麒麟がくる」の主演も務める長谷川博己が併せ持つ“3つの顔”<ザテレビジョンシネマ部>
表現スキルという面でも“引き出しの多さ”を見せつけてくれるが、観る者に与える“感覚”もこれまた多彩。暗い過去を抱えたアダルトな色気、少年のような純真さ、猛り狂う危うさ…この作品には長谷川博己の“3つの魅力”が集約されているのだ。
まず1つ目は、彼の出世作で、映画化もされたドラマ「セカンドバージン」(2010)に象徴されるような大人の男の魅力だろう。『二重生活』(2015)では真昼間から建物と建物の隙間で不倫相手と情事にふける妻帯者、『この国の空』(2015)では年下の女性と危険な関係に落ちる(これまた)妻帯者を演じるなど、挑戦的なキャラクターに扮してきた長谷川。
『半世界』に直接的なラブ・シーンがあるわけではないが、その分細身のスーツ姿や隙のない“居方”、多くを語らないミステリアスな雰囲気で魅せる。
2つ目は、自らの感情が素直に表情に出てしまうピュアな部分。『散歩する侵略者』(2017)で侵略者の青年と交流するジャーナリスト、『ラブ&ピース』(2015)では挫折した元ロック・シンガー、ドラマ&映画「鈴木先生」シリーズ(2011~2012)では妄想を抑える教師と、多くの濃いキャラクターを演じてきた長谷川だが、これらの作品に共通する、整った表情をくしゃくしゃにして笑うシーンが『半世界』でも観られる。