「ノンスタ井上くんへの誉め言葉は、自分で書き足してください…という塗り絵システムです(笑)」
――本書に登場する59人の中で、一番ハッシュタグを付けやすかった人は?
川島明:ジャルジャルの後藤(淳平)くんです。唯一、タグが多くなりすぎてカットしたのが後藤くんなんですよ。後藤くんって、1000本近いコントを持ってるんですけど、それだけどんなキャラクターにもなれる。どんな表情にも見えるんです。だから、言うたら白米みたいなもんで、どういう味付けにしても、絶対に料理にはなるんですよね。
――なるほど。喜怒哀楽どの感情を当てはめても成立する、という。
川島:そう。僕は写真を撮るとき、「できるだけ無表情に」、もしくは「できるだけカッコつけて」ってお願いするんですね。そうすると、喜怒哀楽の“怒”もいけるんですよ、「静かに怒ってる人」とか。それが笑顔の写真だったりすると、“喜”しかできなくなるんです。
――では逆に、最もタグを付けるのに苦労した芸人さんは?
川島:EXITのりんたろー。くんは難しかったですね。キャラクターが確立されてるから。すでに調理されたものを、もう一回違う料理に作り替えるようなものですからね。たとえ無表情でも、「EXIT」というタグさえ付ける隙間がないくらいのキャラクターなんで。
だから、僕が尊敬するロバートの秋山(竜次)くんが今回登場しないのも、つまりはそういうことなんですよ。
――秋山さんの「クリエイターズ・ファイル」は、いわば“セルフハッシュタグ大喜利”ですからね(笑)。
川島:そうです、そうです。「#モテてると勘違いしているラジコン研究所の人」みたいなハッシュタグを付けたところで、すでにもう、それコントでやってるやん、っていう話ですから(笑)。
――また、最後のハッシュタグが必ず褒め言葉になっているのもポイントですよね。
川島:ムチばっかりじゃなく、アメも必要かなと思って(笑)。でも、ウソは書いてないです。それだけに一番時間が掛かったりするんですけど。まぁ、誉め言葉を最後にポンと置くことで、ええ感じにバランスが取れてるのかなとは思ってるんですけどね。
――ちなみに、NON STYLEの井上裕介さんだけ、最後の一行が「#」だけで、その後に何も書かれていないんですが、これは…。
川島:あ、誤植じゃないです。これが僕からのメッセージです。彼とは20年くらいの付き合いになりますけど、どうしても筆が進まなくて(笑)。ですから、井上くんのファンで、彼に対する誉め言葉を知っているという人は、自分で油性ペンで書き足してください…という塗り絵システムになってます(笑)。
《インタビュー後編へつづく》