一人三役を演じる林遣都「今後の自分の財産になる」<世界は3で出来ている>
――脚本は「スカーレット」の水橋さんですが、台本を読んでの感想をお聞かせください。
本当に水橋さんの脚本が大好きなんです。昨年から今年にかけて1年弱、「スカーレット」で一人の人間を作っていただいて、それを演じていて、ずっと感動しっぱなしでした。水橋さんの見てきたものや、人生観や世界観、笑いのセンス、すべて本当にとても好きで、演じがいがありました。
また、水橋さんが生み出す人間を演じたいと思っていたんですけれど、まさかこんなに早く、しかも三人も書いていただいて演じることができるというのは自分にとっては大きな喜びでした。
今回台本を読んでいて改めて感じたことは、水橋さんの台本は、せりふが自分の(お芝居の)準備や努力とは別のところで勝手にしみこんでいくというか…。それが何でなのだろう、と思ったときに、水橋さんの台本ってすごく“余白”があるんだなと感じました。
今回だと、三人が子どもの頃にお世話になった近所のラーメン屋さんの若社長の話とか、お母さんのこととか、いろいろな背景がどの登場人物でも、役の上で登場しない人でもしっかり描かれていて。
演じる側がそれを想像してイメージを膨らませて、水橋さんが与えてくださった設定を作り上げていかないとすごく薄っぺらいものになってしまうと思うんです。
かなりハードルの高い台本で、難解なのですが、その作業を自分でやっていくことによって、一つ一つのせりふが、本当に自分がこの役をずっと生きて経験してきたかのようにその手助けをしてくれるんです。だからやっぱりすごい台本だなって今回、より強く感じました。
――一人三役を演じられるということで、事前に気を付けたことなどありましたか?
三つ子という設定には最初驚きましたけれど…。とても難しいだろうし、かなり挑戦的な企画だなと思いましたがやりがいを感じました。
演じ方によって、出来上がるものがまったく変わってくるなって感じたので、一つ一つ台本を読みながら膨らませていきました。
でも、自分が三つ子を、三人分を演じるので、同じ顔はどうしようもない。撮影期間も短く、入れ替わりながら撮っていく中で、とにかく一人一人気持ちを込めて演じていくことを軸に置きました。
見てくださっている人に、掛け合いや空気感で、だんだんそこにいる三人が何となく、気が付いたら別人に見えていたらいいなと。精いっぱい自分の心を込めて演じることでどこまでできるかなって。
――実際に演じられていかがでしたか?
(三役を)入れ替わりながら演じていくのは、僕自身も混乱しました。台本ができてから撮影までの限られた時間で自分がどこまで膨らませられるかということが勝負だと思っていました。
今回の企画で、映像作品のスペシャリストの方たちと一緒にお仕事できたということの喜びの方が大きく、とにかく楽しかったです。あとは自分がどこまで突き詰めていけたか?というところです。
6月11日(木)夜11:00-11:40
フジテレビ系で放送