「エール」裕一&音“夫婦の絆”に視聴者涙…!朝ドラにおける“夫の役割”を考える
2020年度前期の“朝ドラ”こと連続テレビ小説「エール」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)。6月1日~放送の第10週「響きあう夢」の第50回では、音(おと/二階堂ふみ)と裕一(窪田正孝)の夫婦の絆が描かれSNSでは「感動した…泣」「じーんときた涙」と話題になった。朝ドラで重要なポイントとなる“夫婦の関係”について、フリーライターでドラマ・映画などエンタメ作品に関する記事を多数執筆する木俣冬が解説する。(以下、一部ネタバレが含まれます)
「夢も子供も夫婦ふたりで育てていきます」
朝ドラ「エール」第10週は、オペラ「椿姫」の稽古に励む音(二階堂)に妊娠がわかり、母になる夢も、歌手になる夢も両方叶えると意気込んだ。しかし、妊娠による体調の変化などで練習が思うように進まず…。
最終的には、裕一(窪田)に「そんな歌しか歌えないんじゃお客さんに失礼だ」と諭され舞台を降板、無事、女の子を産むという展開。朝ドラあるあるのひとつ、仕事か家庭か、女性の生き方問題が描かれた。
声楽家の大先輩・双浦環(たまき/柴咲コウ)は「ほとんどの人がいばらの道でなく平穏な道を選ぶ」もので、音もそのひとりだったと思ったようだが、音はそういうつもりはさらさらなかった。
なぜなら、裕一に「音は何ひとつ、なにひとつ 諦める必要はないんだから そのために僕はいるんだから」と勇気づけられたから。
今回、オペラの舞台デビューを見送っても、いつか自分の曲で音に大きな舞台で歌ってもらうことが僕の夢だと、音に言う裕一。でもそれも、音の夢が叶うように今後協力していくから、代わりに僕の夢も叶えてほしいという、音の自尊心を損ねない気遣いぶり。これはもう女性視聴者にはたまらない場面であった。
それまでどこか頼りなげだった裕一ががぜん、“理想の夫”ランキング、急上昇である。
「夢も子供も夫婦ふたりで育てていきます。彼がいてくれたから選べた道です」と環に晴れ晴れという音。仕事も家庭も諦めない生き方の模索が描かれている「エール」。それには、男性が女性を理解し寄り添うことが必要なのである。