「エール」裕一&音“夫婦の絆”に視聴者涙…!朝ドラにおける“夫の役割”を考える
朝ドラのヒットには夫役の魅力が不可欠
朝ドラヒットの条件のひとつは夫役に魅力があること。もちろん、見目麗しいことも重要で、しゅっとした俳優を夫役としてキャスティングすることは必須であろう。が、見た目だけでない。内面が重要で、仕事ができて、性格が良いのみならず、パートナーの人生を豊かに彩ることのできる夫でなければならない。
例えば、前作「スカーレット」(2019年度後期)では、ヒロイン喜美子(戸田恵梨香)の夫・八郎(松下洸平)は、熱愛のすえ結ばれながら、やがて離婚する。
だがその理由には、同業者としての嫉妬もありつつも、喜美子が陶芸の道を邁進できるように解放してあげたという側面もあった。
しかも結局、離婚後も時々一緒過ごすようになって、仕事に没頭したいときはひとり、時間ができたときはふたり、と喜美子にとって最高のパートナーになったのである。
これを男性視点で考えるとどうかわからないが、働く女性にとって八郎は大変ありがたい存在であった。
「なつぞら」(2019年度前期)では、ヒロインなつ(広瀬すず)が結婚後、アニメーターの仕事を続けることになったとき、夫・一久(中川大志)は代わりに家の仕事をする。そして、なつのアニメーターとしての仕事を生かせるようなアニメの企画も立てるのである。
「エール」「スカーレット」「なつぞら」と、さながら、今、女性を生き生き輝かせるキャンペーン実施中という感じであるが、それ以前の「まんぷく」(2018年後期)は、福子(安藤サクラ)が夫・萬平(長谷川博己)にひたすら尽くす役割だった。
とはいえ、これも、何かと福子の機転が萬平の発明に役立つ展開で、女性の気持ちを満足させるものであった。
朝ドラで人気の高い「ゲゲゲの女房」(2010年度前期)もヒロイン布美枝(松下奈緒)は専業主婦として漫画家の夫・茂(向井理)に尽くすが、尽くせば尽くすだけ夫がどんどん成功していく、実話を元にしたサクセスストーリーは多くの人に喜びをもたらした。