高杉真宙、好きな人を追ってシンガポールに来た“冴島”を「同じ男として憧れます」<映画「糸」連載7>
撮影やお芝居、演技が面白いと感じた作品
――さて、“冴島”は、葵と出会ったことで人生が変化していきましたが、高杉さんの中でターニングポイントとなった出会いを教えてください。
2014年に出演させていただいた映画「ぼんとりんちゃん」(2014年)です。言ってしまえば、僕は当時、まだこの仕事に魅力を見いだせていなかったんです。でもこの作品に出演したときに、撮影やお芝居、演技が本当に面白いものなんだと感じることができたんです。いまだにその時に学んだ演技や役の組み立て方は大事にしています。当時は最初の3カ月くらいに稽古をして、1カ月半を撮影に費やしたんですが、最初の3カ月が面白くて仕方がなかったんですよね。いまだにその時の感覚が残っていて、演技よりも、役を組み立てるときが楽しいと思うんです。
――それだけ時間をかけて、役の組み立て方を教えてもらえたというのは、今考えるとすごく贅沢な現場だったのではないでしょうか。
本当にそう思います。その映画の小林啓一監督が、そうやって稽古をされる方だったので、まだ初心者に近かった僕はすごく勉強になりました。今回の“冴島”も、その時に教えていただいた方法で役を作っていったんです。きっとこれからも、この組み立て方は変わらないんだろうなと思っています。
――この映画のようにもし高杉さんが海外に行くとしたら、どこにしましょうか。もちろん、Wi-Fiを持って!(笑)。
Wi-Fiは忘れないようにします!(笑)。僕は初めて行った海外がカナダだったんです。撮影で訪れたんですが、驚くほど自然がきれいで圧倒されたんですよね。さらに15歳の誕生日をそこで迎えたこともあり、僕には大切な場所として記憶されているんです。ただ、その後に行けていないのでどんどんその想い出に補正がかかって、過剰評価しているような気がするんですよ。
――それは過剰評価をしてもいいと思うのですが…(笑)。
あはは。でも、本当にそれくらい素敵だったのか、自分の目で確かめてみたいんです。ただ、1人で歩くのは本当に怖いので、誰かと行きたいですね(笑)。
たかすぎ・まひろ=1996年7月4日生まれ、福岡県出身。放送中のドラマ「私たちはどうかしている」(日本テレビ系)に出演
取材・文=吉田可奈