2人とも、台本以上に雄弁に語ってくれた
――元交番勤務で俊足の伊吹を演じた綾野さんと、元捜査一課のエリートである志摩を演じた星野さんの演技はどうでしたか?
「アンナチュラル」(2018年TBS系)のとき、予想を超えてキャラが濃くなっていたのは、中堂を演じた井浦新さんだけでしたが、今回は綾野さんと星野さんが2人とも自由に演じていてキャラがとても濃くなっている(笑)。アドリブも多いですしね。第1話で志摩がゴミ箱を蹴り飛ばしたのもそうで、その後に伊吹がうれしそうに「なんだかテンション上がってきた!」と言うのもアドリブです。自分で書いていないのに、第1話の中ではあのくだりが一番面白いなって思いました(笑)。
――綾野さんとは「空飛ぶ広報室」(2013年TBS系)、星野さんとは「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年TBS系)でも組みましたね。
2人とも、とにかく芝居が上手いので、今回も台本以上に雄弁に語ってくれたところがたくさんありますね。「ここはどう演じてくれるだろう。どんな顔をするんだろう」と書きながら想像するのが楽しみでした。第8話で志摩が伊吹の部屋を訪ねるシーンは、2人のやり取りがすごくよかった。星野さんは刈谷(酒向芳)刑事とのシーンも面白かったです。
綾野さんは例えば第4話で志摩が銃を自分の額に当てた後の「納得していない伊吹」の何ともいえない表情、ああいう複雑さが素晴らしいですよね。台本には書けない部分です。第9話も(ガサ入れのとき澤部を追う場面の)お二人の“駆けっぷり”が素晴らしかったです。狂犬まんまの伊吹と、必死で止める志摩が、想像以上のテンションで見入ってしまいました。