黒島結菜「戦争を描いた作品にずっと出たかった」
黒島結菜主演で原爆投下後の広島を舞台にしたスペシャルドラマ「戦後70年『一番電車が走った』」(NHK総合)が8月10日(月)に放送される。放送に先駆けて試写会と会見が行われ、主演の黒島結菜、共演の阿部寛、清水くるみ、制作統括のNHK広島放送局の奥本千絵CP、演出・脚本の岸善幸が登壇した。
主人公・豊子(黒島)は、家政女学校の生徒。太平洋戦争末期、彼女たちは戦地に赴いた男性たちに代わって路面電車の運転士を務めるようになる。
しかし、8月6日、原爆が投下されて広島は焼け野原に。電鉄会社の電気課長・松浦(阿部)は、路面電車復旧の陣頭指揮を命じられ、架線や電気設備の修復に力を尽くす。そして、被爆からわずか3日後、一部路線で路面電車が復旧。女学校で友人たちの看護をしていた豊子は、松浦に頼まれて再び運転席へと戻る。
物語は、実際に戦中~戦後の広島で“少女運転士”を務めていた雨田豊子さん、そして電鉄社員の松浦明孝さんらの実話を基にしたもの。
会見に登壇した黒島は「最後のシーンで、現在の豊子さんと(友人の)幸子さんが出演されているのを見て、(会見で)すぐ話さなくてはいけないのに涙が出てしまって…。この作品に関われたことが幸せなことだなと思います」と目に涙を浮かべていた。
また、沖縄出身ということもあり「戦争を描いた作品にずっと出たいと思っていた」と明かし、「沖縄だと、学校行事の一つとして講演会や資料館に行くこともあり、戦争の話が身近なものでした。ただ、沖縄の人は沖縄戦は知っていても、広島で起きたことを詳しくは知らないんです。私自身、被害の違いも感じましたし、それを伝える一つの作品になったなと感じています」と語った。
阿部は「終戦を迎えるということ自体が、全ての日本人にとって力が抜けてしまうようなものだと思います。その中で、前を向いて復興に向かって歩く人がいたということを伝えられたらと思います」とコメント。
さらに、「戦争のドキュメンタリーなどを見ると、若い時はあまり感じませんでしたが、最近は本当に胸に刺さります。今回の作品は、当時、路面電車を運転していた女の子たちに寄り添って、その心を繊細に描いていて、きっと若い人にも『戦争をしてはいけない』というメッセージが届くんじゃないかと思います」と期待を寄せた。
豊子と同じく路面電車に乗務する幸子役の清水は「実際に幸子さんにお会いできて、当時のことを聞かせていただきました。悲しい現実だと思いますが、これをちゃんと後世に伝えていかないといけないなという思いで演じさせていただきました」と作品に込めた思いを語った。
最後に印象的だったシーンについて聞かれた黒島は、「ラストで一人で川に入って水浴びするシーンがあるんですが、せりふもト書きもなくて、『どうしよう』と思っていました。現場で感じたままに演じようと思ったら、撮影日はとてもいい天気で、自然に笑顔も出ました。そういうお芝居をしたことがなかったので、不思議な体験でした」と物語のラストシーンを挙げていた。
8月10日(月)夜7:30-8:43
NHK総合で放送