満島ひかりが話題の“黒柳徹子役”を語る!
満島ひかりが黒柳徹子を演じる土曜ドラマ「トットてれび」(毎週土曜夜8:15-8:43、NHK総合)。NHK専属テレビ女優としてデビューし、現在まで活躍を続ける黒柳のエッセーを原作に、熱気に満ちたテレビ草創期を生きた人々を描いている。
そんな「トットてれび」主演の満島ひかりを直撃。本人が乗り移っているようだと話題の黒柳徹子役への思いや、黒柳本人&共演者とのエピソードを語ってもらった。
――黒柳徹子さんを演じるというオファーが来たときはどう思われましたか?
実は、2回断りました(笑)。「できないです」って。徹子さんのパワーをそのままドラマに出せるだろうかと思ったんです。でも、「黒柳さんのパワーを借りて新しいことがしたいんだ」という監督の言葉を聞いてお引き受けしました。
――黒柳さんからアドバイスはありましたか?
一緒にお食事もさせていただいて、そこでもたくさんアドバイスを頂きました。守り切れていないこともあるんですが…。徹子さんは「私は『どうかな?』と思うことがあっても相手には言わないの。どうかなと思う状況でも、自分なりに一番いい方法を探すのよ」とおっしゃっていて。でも私は相手に言ってしまうタイプなんですね。黒柳さんにそう言ったら「それは控えなさい」と言われました。
それから、向田邦子(ミムラ)さんの家で台本を読むシーンがあるんですが、徹子さんから突然「大事なことがあるの。向田さんの家で台本を読むときは、上を向かないで下を向いて読んでね!」と言われたんです。そのときは、そんなに大事なことなのかなと思っていたんですが、よく考えると、向田さんが下を向いて書き物をしているときに上を向いて台本を読むと、お互いに気配を感じるじゃないですか。同じ部屋にいながら、お互いに干渉し合わなかった二人の関係性を守ってねということだったんだなと今は思っています。
――黒柳さんの魅力はどういったところにあると思いますか?
徹子さんはとにかくかわいくて、何歳になっても変わらない感じがします。自分が本来持っているかわいさを、思いっきり表現できて、発信していく力があるんじゃないかと思います。どんなに怒っていても、どこかおかしいところですとか、どうやったらあんなふうにできるんだろうと思いながら見ています。
あとは、作中で「紅白歌合戦」のシーンがあるのですが、当時の「紅白」はまだ始まったばかりなので歌手の方も掛け持ちで仕事を入れていたんだそうです。当時の音源が残っているんですが、現場は「女来てません!」「女来てないから、徹子つないで!」みたいなやりとりなんですね。お客さんも「○○出せよ!」って野次を飛ばしていて。その中で徹子さんが出てきて「元来女性と申しますものは、非常に慎ましやかなものでございまして、思っていることの十分の一か、万分の一しか口に出せないってのが相場になっております。ですから女性軍に応援を…」って、あの口調でおっしゃるからみんな聞き入るんですね。お嬢様言葉で面白いことを言うってほかにない気がします。
――黒柳さんはしゃべり方が特徴的ですが、演じる上で苦労はありますか?
まねはあまりしないようにしています。もし、まねをするなら本当に上手にまねしたいです。黒柳さんからは「私は(話すスピードが)速いだけじゃないの。よく聞こえるの」と言われていて、気を付けています。
――作中では、ミムラさん演じる向田邦子さんや中村獅童さん演じる渥美清さんなど、昭和の著名人が大勢登場しますが、特に似ていると感じる方はいますか?
みんなそれぞれエッセンスを取り入れていますね。でも、自分自身が(当時の状況を)体験することが一番大切なんだと思います。当時の生放送のバラエティードラマ「若い季節」の本番のシーンがあるのですが、当時の緊迫した状況を渡されて、自分たちとしてどう解決していくかと、黒柳さんたちがどう解決するかをダブらせながら演じています。なので、半分リアルにドタバタしています(笑)。
それから、渥美さんを演じる中村獅童さんの笑顔はとてもいいです。獅童さんこわもてだと思うのですが、あの顔で笑いながら話されているとたまらないですね。
――収録中に特に印象に残っていることはありますか?
「若い季節」の本番のシーンでは、撮影スタッフ役のエキストラの方が持っているカメラも回っているんです。そうしたら、エキストラさんがカメラマンとして目覚めてきてしまって(笑)。「徹子さんのいい表情撮れたんです!」とおっしゃっていたのが面白かったです。
――最後にあらためて、今後の撮影への意気込みをお願いします。
不真面目にやろうと心掛けていて、「真面目に遊ぶ」ということがしたいんです。ハードルは高いですし、いっぱいカットされると思いますが、自分がやってみたいと思ったことをできたらなと思います。
毎週土曜夜8:15-8:43
NHK総合にて放送中