――本当にこういう時代が来るとしたら、賢司のような対処はできると思いますか?
この映画に出ていなかったらああいう知識はなかったので、生きていけなかったんじゃないかなと思います。そういう面では、この映画の知識を生かして生きていけるんじゃないかなとも思っております。
――特にどんなものが役に立ちそうですか?
スマートフォンのラバーケースをパンク修理に使っている場面があって、ああいうのってそういう状況にならないと思い付かなかったですし、身近にある小さいことでもいろいろ使えるものがあるんだなって思いました。
発想の転換が大事なんだなと。あと、本当に猫缶も食べましたよ!(笑)
――本物の猫缶を食べたんですか!?
本物でした。すごくマズかったです…(苦笑)。
――あ、やっぱり駄目でしたか?
駄目でした…。矢口監督は「僕も食べられたから大丈夫だよ」って仰っていたんですけど…俺は嫌いです!(笑) すっごく生臭くて…魚っぽいし、ゼリーも混ざっているし、何なんだこれは!って思いながら食べました。
でも、本当にこの状況になったら食べざるを得ないんでしょうね。ただ、普段は食べない方がいいですよ(笑)。
――賢司くんにしても、追い込まれたからこそできたことも多かったんでしょうね。
そうですね。豚を追い掛けるのもそうですし。あれも撮影で実際に追い掛けたんですが、大変でした。それに、追い掛けていた豚をその次には捌いて、お肉にして…っていう、衝撃的な体験をしました。
“生”をまざまざと感じるというか、さっきまで追い掛けていたのに…っていう思いもあって、食べ物の大切さを学びました。
――ものすごくおなかが空いている時に大地康雄さん演じる田中の家でご飯を食べるシーンも印象的でした。
あれはすごくおいしかったです! 目玉焼きと梅干しというシンプルな料理なんですけど、全体的に撮影中はあまりがっつり食べなかったので余計に。
少し痩せていく過程を見せられた方がリアルだろうと思って、食事を控えるように心掛けていたので、あのシーンは素直にうれしくなっちゃいました。
――全体を通し、一番思い出深いシーンはどこですか?
やはり川を渡るシーンですね。撮影は11月だったので水も冷たくて、あれは本当につらかったですよ(笑)。流れもそこそこ急でしたし、そこにいるだけで体力が奪われてしまって、もう動きたくないというか、動けない感じでした。
――今回が矢口作品初出演でしたが、飛び込んでみていかがでしたか?
すごくやりがいのある撮影ができたなと思っています。矢口さんはあまりモノを言わなそうだなって思っていたんですけど、話してみると全然違っていて、ズバズバと言いたいことを言う方なんだと印象が変わりました。オーディションのときもなぜか1つのせりふで何パターンもやらされたんです(笑)。
そこにどういう意図があったのかは分かりませんが、いろいろなキャラというかパターンでやってみて、ってなって…。撮影に入ってからもそうですけど、何回も何回もやることでいいものが生まれるといいますか、いいものを作ろう!という矢口さんの思いがすごく伝わってきたので、本当に参加できて良かったなと思いました。
今までの俳優人生でも1、2を争うくらい大変な撮影だったなと思うので、それを矢口さんに撮っていただいて、自分の中でとても大きいものになりました。
――ベタな質問ですが、危機に陥るとして、ライフライン(電気・ガス・水道)で何を残してほしいですか?
う~ん、電気はやっぱり一番必要なんじゃないですかね。電車とか車とか移動手段にもなるので。スマホはないならなくても生きられると思うのですが、電気は大事ですよね。
でも、生きていく上で必要なのは水なのかな。この映画でも水を求めて右往左往していましたから。自分も家に水をダンボールでストックするようになりましたし(笑)。自然災害も最近は多いので、撮影を終えて、万が一に備えて対策をするようになりましたね。
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