ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第90回ザテレビジョンドラマアカデミー賞脚本賞 受賞インタビュー

西田征史

坂口健太郎君のおかげで星野武蔵のかわいらしさが増した

「暮しの手帖社」の創業者・大橋鎭子さんと天才編集者・花森安治さんの雑誌出版の軌跡をモチーフにしたお話でしたが、史実と創作との違いというところは難しかったですか?
大橋さんと花森さんをモチーフに描かせていただけたことはとても幸せでした。でも、「原作」ではなくあくまで「モチーフとしたオリジナル作品」ということですので、「実際のままではなく、変えなくてはいけない部分」もあり、そのあたりは苦労したポイントの一つかもしれません。骨格として、花森さんという名物編集者と、大橋さんの二人三脚ぶりを描くことは変わらないのですが、そこに至るまでのプロセスや関わる人間などは色々な事情で変えなければならないこともありましたので、変える部分と変えない部分を逐一、落合制作統括と話し合って、作っていったという感じですね。
淡々と日常を描くのは挑戦だったのでは、という声もありました。その部分で意識されたことはありますか?
そうですね……前半は「雑誌を作ることを夢見て生きている」わけでなく、「ただ家族を守るため、今を生き抜くため」に常子は生きている。そうやって生きていた中で結果的に辿り着いたものが出版であり、雑誌をつくることであって、それが世の中に受け入れられたということの方が現実的ではないかと思い、そういう構成に致しました。でもそうなると、出版に至るまでの前半パートは、ともすればストーリーが大きく進んでいかない印象になりかねないので、ご覧いただいた方についてきてもらえない可能性があるかもという不安は抱えていました。
「毎日の生活より大切なものはない」「誰かが命懸けで作ったものだから命懸けで批評する」など脚本に込められたメッセージには心打たれました。
ありがとうございます。特に…商品テストは肝でもあり、花森さんご本人の思いに寄り添えた箇所でもあります。今日の日本を作ってくれたのは戦後の色んな方々の努力の結晶であり、その中の一人に花森さんをはじめとした「暮しの手帖社」の方がいて、チェックする側がいるから、作り手も頑張る、という構造が生まれ、そういう相乗効果でより日本の家電や企業は進歩していったといえます。それに、自分も40を過ぎて、多くのことを先人が残してくれたから今があるなと感じることが増えまして……、ああいうせりふを書いたつもりです。
出演者の方への思いというか、主演の高畑充希さんとは、撮影の最中、LINEでやり取りをされていたと聞きましたが…。
(笑)。はい、そうですね。本当に出演者の皆さんが、素晴らしい表現者だったので、刺激を受けながら自分で書いていけたのが幸せでした。後はちょっとした役でも豪華な役者さんが演じてくださってて、そういう驚きのキャスティングがもありましたね。高畑さんからは脚本の感想だけでなく「皆で焼き肉食べに行くのでよかったら」とかそういう細やかな気遣いをしていただきました(笑)。
本当に魅力的なキャラクターがいっぱいでした。特に多い入れのあるキャラクターはいますか?
そういっていただけてうれしいです。思い入れがあるキャラクターは全員ですが、強いて言うならば星野武蔵です。坂口健太郎君に演じてもらって、よりかわいらしさが増したかなと思いました。本当はね、結ばれてほしかったけれど…。どうしても…(笑)。〝初の独身ヒロイン〟といううたわれかたをしていたこともあったので、変更することはやはり難しく…はい(笑)。
最後にあらためて、脚本賞、おめでとうございました。
ありがとうございます。こうやって(賞を)いただけるとは思っていなかったので素直にうれしいです。最後の決定稿が書き上がった後も落合将制作統括からは、「長い期間、お疲れ様でした」というメールが届き、作業が終わったので(笑)、この瞬間で「終わった!」というのがはっきりしなかったものですから。でも、そのときは、最終回のOAがまだ2カ月先くらいでしたから、僕自身としてもどこかずっと気を張っていたというか、10月1日のOAが終わって、初めて終わったのかな…?という感じだったので、ようやくこれで本当に書き終わったんだ、と実感できた気がします。

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