ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第91回ザテレビジョンドラマアカデミー賞脚本賞 受賞インタビュー

三谷幸喜

テレビの面白さはやはり連ドラ 評価されたのはうれしいことです

脚本賞、おめでとうございます。
「ザテレビジョン ドラマアカデミー賞」って、まだ続いていたんですね(笑)。第91回ですか、すごいですね。「新選組!」が12年前で、それ以前には「警部補・古畑任三郎」(‘94年フジ系)などで脚本賞をいただいていますね。ということは、そんなに長い間、僕は連続ドラマを書いていなかったのか…という驚きがあります。僕は、舞台も映画もやりますが、脚本家として一番好きな仕事は連続ドラマなんです。だから、こうやって12年ぶりに賞をいただき、視聴者の皆さんに忘れられていないということを再認識して、〝また連ドラやりたいな〟という思いが湧いてきます。そういう気持ちにさせていただいたのも、うれしかったです。
「真田丸」は、真田幸村こと信繁(堺雅人)の目線、という視点を特にこだわり、描かれましたね。「本能寺の変」や「関ケ原の戦い」などをあっさり終わらせる一方、「天正壬午の乱」など知られざる歴史を掘り下げました。
それは、始めから奇をてらったわけではなく、真田信繁という題材が題材なだけに、どうしてもそういう目線になったという結果です。僕は大河ドラマが大好きで、’73年の「国盗り物語」(NHK総合)を始めとして、子どものころから見てきたので、「僕だったらこうしたい」という思いはいろいろありました。戦国時代を扱った大河はいっぱいあるから、それに負けないものをと考えたときに、例えば、「大坂の陣」は結果が分かりきっている。それでも、信繁たちが勝つのか負けるかということは予測がつかないようにしたかったんです。でも、それってけっこう難しい。どうしても有名な歴史的事実があるから、そこから逆算してストーリーを作りがちなんですが、当時は、関ヶ原で東軍と西軍のどちらが勝つかなんて、先のことが分かっている人は誰もいなかったわけですよね。そこは信繁の目線に寄り添うというか、先読みしない形で作ることで、もしかしたらハラハラ感、ワクワク感が生まれたのかもしれない。常に先を読まない姿勢というものをなんとか頑張って貫いた結果かなという気がします。
第44話で信繁が出城を築き、「名は、決まっておろう、『真田丸』よ」と言ってから放送の最後にオープニングタイトルが流れる趣向も話題になりました。あれは三谷さんのアイデアだったのでしょうか?
実はそうなんです。台本を書き上げたときには考えていなかったけれど、何かの拍子に「そうなったら絶対かっこいいな」と思って、プロデューサーに電話し、「この回はオープニングを最後に持っていきませんか」という話をしました。「ノリでやっちゃいましょう」みたいな感じで、あっという間にその案が通りまして、やっぱりそういうチームは強いなと思いましたね。他にも、僕が「こんなことはできないか」というアイデアを出して、それが突拍子もないことでも、プロデューサーと演出家が実現する方向に向かってくれた。行動力と発想力と実現力がそろったチームだったと思います。
「新選組!」のときは、最終回のあと「新選組!! 土方歳三 最期の一日」('06年、NHK総合)を書かれましたが、「真田丸」の続きを書く予定はありますか?
いや、本来は信繁や「新選組!」の近藤勇のように、主人公が死んだ瞬間に物語を終わらせたいんですよ。そして、その最後の瞬間に生きている人はずっと生き続けてほしい。「真田丸」も、大坂城が燃えるところまでは描きましたが、茶々も秀頼も死んではいないじゃないですか。もしかしたら、死ぬところを見たい人もいたかもしれないけれど、あの話の中では死んでないんです。もしかしたら茶々たちは死んでいないかもしれない、伝説にあるように鹿児島に逃げたかもしれない。そのことは信繁が分からないように、ドラマとしても分からないままでいいと思うんです。「新選組!」も、土方のその後を描いたけれど、本当は近藤勇が死んだ時点で終わったのであって、今も土方たちはどこかで戦っているんじゃないかという思いを残すほうが、僕は好きですね。
続編やスピンオフも期待したいのですが…
実は、僕が初めて通して見た大河ドラマ「国盗り物語」のラストが衝撃的だったんです。本能寺の変の後、光秀が農民に刺されて死ぬところで終わる。それで歴史がどうなるかなんて僕らは知っているけれど、ドラマしか見ていない人は「なんだこれは。この後どうなるの?」と思う終わり方。でも、それが歴史というものという気がするし、どんどん進んでいく歴史にピリオドはない。そういった歴史観が自分にとってぴったりきたので、自分が書く大河ドラマも完結しない終わり方にしようと思っていました。だから、「真田丸」の続編的なものは、僕の中では考えていないですね。ただそれは現在の話で、視聴者の皆さんの要望が強くあれば、分からない。誰かのその後やその前ではないところを描くスピンオフをやってみたいなという気持ちはちょっとあります。だから、可能性はゼロではないですね。
2作目となった大河ドラマですが、あらためて〝大河ドラマ〟の脚本を書くということをどう捉えてらっしゃいますか?
連続ドラマで1年間続くのって、大河ドラマと「渡る世間は鬼ばかり」(TBS系)だけ。僕が「渡る世間―」を書くことはありえないので(笑)、大河しかないじゃないですか。テレビ本来の面白さは連続ドラマにあるし、ましてや「来週どうなるんだ?」という興味を1年間、持続させられるのは大河だけなので、とてもやりがいのある仕事でした。そして今回、その大河ドラマで評価されたのがうれしい。「新選組!」と「真田丸」の間は12年空いてしまいましたが、次は10年空けずに大河を…? どうなんですかね。僕としてはやってみたいとは思っています。


みたに・こうき=1961年、東京都出身。A型。脚本家として多くのテレビドラマを執筆。映画や舞台なども手掛けるなど幅広く活躍。作・演出を手掛ける新作舞台「不信~彼女が嘘をつく理由」が3月7日(火)~4月30日(日)に東京・PARCO劇場で公演

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