井川遥「おちょやん」“スター女優”役で存在感!「半分、青い。」では“ピンクハウス秘書”演じ話題に
「純情きらり」「半分、青い。」ではどんな役を?
たとえば、現在、再放送中の「純情きらり」(2006年度前期)で井川が演じている、ヒロイン・桜子(宮崎あおい※「崎」は正しくは立つ崎)の姉・杏子は、「人形の家」を地でいくような役。時代は昭和初期。見合い結婚するが、夫(池田鉄洋)が典型的な男尊女卑で、杏子に妻や母の義務を強要してくる。しかもいまでいうDVまで。それに耐えきれず離婚し、苦労しながら看護婦として自立する。最終的にはいい人と出会って再婚するという流れ。
一方、「半分、青い。」(2018年度前期)の井川遥はちょっと違う。舞台は80年代、男女雇用機会均等法が施行され、女性が男性と並んで仕事をしていく気運が盛り上がっていた頃の物語では井川は、ピンクハウスのワンピースにメガネに真っ赤なルージュの80年代ファッションに身を包んで、人気漫画家のマネージャー菱本若菜役を演じた。
菱本は優秀で、ヒロイン・鈴愛(永野芽郁)のことも目をかける包容力のある大人の女性として描かれていた。ただし、キレるとこわかったり、独身であることを気にしたりもするかわいげも持ち合わせ、多くの視聴者に支持された。
耐える女性、凛として前を向いていく女性、自由を謳歌する女性、と様々な女性像を朝ドラで演じてきた井川遥が、今回、主人公・千代の憧れとなるのはとてもふさわしいと思う。俳優としては、お酒のCMのイメージが強く、夏の「半沢直樹」(TBS系)の小料理屋の女将のような、男性のとまり木のような役がぴったりハマる。「純情きらり」の看護婦姿も清潔感とやさしさにあふれてすてきだったが、「半分、青い。」でビジュアル的にも性格的にもはじけた役をやって以降は、役の幅が広がった。「おちょやん」では、かぶっていた布をマントのように翻して毅然と立つ姿や、道頓堀を去っていくときの、黒装束など、演劇の衣装のようなものも見事に着こなしている。
映画に転身したのち、また千代の前に現れてほしい。
ちなみに、井川遥は2002年、「HAKANA~「いとしの儚」より」(PARCO劇場)という舞台で、人形そのものの役をやっていた。それは人形が人間になれるか、という物語で、井川遥には、いわゆる人形的なものを期待されながらも、そこから脱していく、そういう物語を託される俳優なのだなあと改めて思う。