宮藤官九郎×磯山晶CP、役者・長瀬智也の魅力を語る!長瀬「俺はスーパーマンじゃないよ」<俺の家の話>
宮藤官九郎&磯山晶チーフプロデューサーの理想のホームドラマ像
――本作において、長瀬さんとだからこそ生まれたシチュエーションや設定はありますでしょうか?
磯山:彼は今プロレスとお能の稽古の両方をしなきゃいけなくて、「俺はスーパーマンじゃないよ」と愚痴るくらい(笑)、負荷をかけちゃっているんです。
でも、びっくりするほどプロレスの受け身もお上手ですし、鍛錬されているのがすごいです。だから作る側にとってはどんな設定でも成立させてくれるスーパーマンです(笑)。
ただ、これまでの「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)や「タイガー&ドラゴン」(2005年)、「うぬぼれ刑事」(2010年)の役柄と比べると、プロレスラーという設定を除いては、今回の役が一番リアリティーがあって、人間性がありますね。
今回、初めて長瀬くんのモノローグで物語が進行するんですけど、彼が42歳になったからこそ感情移入できる人物になっているんじゃないかなって思います。それでもやっぱり想像のななめ上を行く人ではあるんですけどね。
宮藤:題材がプロレスラーと能ということもあって今回、初めてナレーションで心の声を書いているんですけど、そういえばこれまで長瀬くんが演じた役は、思っていることを全部言う人だったなって(笑)。なので、ものすごく新鮮ですね。
――お二人にとっての理想のホームドラマ像がありましたら教えてください。
宮藤:本当は現代の“家族”って一緒にご飯を食べたり、テレビを見たりしないですよね。みんな好きな時間に食べて、テレビも一人で見る。だけど、せめてドラマの世界では、一緒にご飯を食べて、一緒にテレビを見てて欲しいなって思って作っています。
磯山:家族からの言葉って自分への影響力が大きいと思っているんです。そういう存在の人が、認知症になっちゃったり、ゆくゆくは死んじゃったりする。それって、やっぱりすごくドラマチックだと思うんです。
宮藤さんの書くセリフでは、うれしいことも悲しいことも家族だからこその重みっていうものがあるので、それをちゃんと描きたいなと思っています。
あとは、最近会食とかできないので、家族と喋るしかないっていうところにみんな回帰してる部分もあると思います。それはそれで、今の時代にホームドラマを見る意味がまた新しく、違って見えるのかもしれないですね。