天野菜月“お岸”の美しい涙が胸に迫る 初大河で見せた武士の娘の気品と覚悟
長谷川博己主演の大河ドラマ「麒麟がくる」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。1月24日に放送された第42回「離れゆく心」では、光秀の娘・岸(天野菜月)にスポットが当たる場面があった。岸の頬を涙が伝い、武士の娘、武士の妻として生きる覚悟を象徴する名シーンとなった。
「荒木の家で死にとうござりましたが…」
第42回「離れゆく心」では、信長が荒木村重(松角洋平)を討つにいたるまでの情勢の変化と、何とか戦を終わらせたいと奔走する光秀(長谷川)の苦悩が描かれた。
戦のない世を目指す光秀の前には、秀吉(佐々木蔵之介)との対立があり、将軍・義昭(滝藤賢一)からの信頼があった。そして、権力に憑りつかれた信長(染谷将太)の横暴があり、その信長への怒りをあらわにする家康(風間俊介)がいた。いよいよ物語はクライマックスへと突入していく。
そんな中でクローズアップされたのが光秀の長女・岸。荒木村重の子・村次の元に嫁いでいた岸だが、信長が村重討伐に傾くさなか光秀のもとへ舞い戻った。
左馬助(間宮祥太朗)の「殿!お岸どのが戻っておいでです!」の声に、血相を変えて駆け付けた光秀。そこには張り詰めた表情のお岸が控えており、光秀の顔を見ると「父上…荒木家を離縁されて戻ってまいりました。申し訳ござりませぬ」と頭を下げ、涙をこぼしながら「荒木の家で、死にとうござりましたが…」と光秀の胸に顔をうずめた。
戦のない世の実現に心血を注ぐ父・光秀を間近に見て育った岸だけに、村次との結婚が父の夢実現の助けになることも重々承知していたはず。そして、信長に反旗を翻した荒木家の行く末も…。
結果的に、信長の荒木一族討伐から逃れることになった岸。ピンと伸びた背筋とこぼれ落ちる涙は、嫁いだ家に生涯を捧げたいと願う武家の妻としての気品と覚悟、さらに、光秀の願いを叶えられない悔しさ、無念さもしっかりと伝えていた。
毎週日曜夜8:00-8:45ほか
NHK総合ほかにて放送