「朝ドラ史上最低の父」トータス松本“テルヲ”に視線集中!ヒロイン輝かせる“ダメ父”の歴史を振り返る
テルヲが最終的には人気キャラになる可能性も
ところが「おちょやん」のテルヲは、いまのところ、千代を金づるにしているだけで何もしている様子がない。
たいていの朝ドラの父が、ヒロインの第一のステップボードであることに対して、テルヲは、千代が自立しようとすることを毎度毎度、阻む存在になっている。
何が朝ドラ史上最低かといえば、「しつこい」ということだ。ねちっこく、何度も何度も現れて千代の邪魔をする。ゾンビのようになかなか死なない。
この繰り返しにより、最低で不愉快だけど気になるようになっていて、最終的には人気キャラになる可能性をもっている。いや、すでにその気配はある。
演じているのが、愛嬌のあるトータス松本だからということもあるだろう。多くの人に愛されるロックミュージシャンであり、俳優業が専門ではないから、とことん悪には見えなくて、どこか自由なにおいがしている。
「借金大王」という歌も歌っているので、歌と反対の借金大王役というのも話題になっている。
1月29日、朝ドラのあとに放送されている情報番組「あさイチ」にゲスト出演したとき、嫌われることに躊躇しながら、誰もにテルヲのような部分があるのではないか、ひどい後妻を娶った理由は、最愛の妻を亡くし、希望を失い傷ついているからではないか、と解釈を語っていた。
そう、朝ドラのお父さんは皆、どこか哀しい。でも、お父さんは家族のリーダーであるから誰にも甘えられない。娘が強くなればなるほど自分の立場がなくなっていく(「カーネーション」はそこをしっかり描いていた)。
だからこそテルヲには、いつかその哀しさを乗り越えて、これまでの借りを返してほしい。