BS12 トゥエルビにて放送中の「せいこうの歴史再考」(毎週月曜夜9:00-9:55)は、偉人の足跡や今に伝わる日本文化の成り立ちを、経済の視点から探る歴史番組。
3月6日(月)の放送では、約1300年続く日本独自の伝統文化「相撲」を取り上げる。神事から娯楽、そしてスポーツへと変遷した相撲興行。そのビジネス戦略に迫り、現代にも通じる経済術をひもといていく。
今回、放送2年目を迎えた同番組に出演する、いとうせいこうにインタビューを行い、番組への思いや見どころについて聞いた。
──1年ほど前、「事前に番組内容を予習しない」と仰っていましたが、そのスタンスは今でも変わりませんか?
変わらないですね。予習は全くしていません。予習をしてしまうと僕自身に驚きがなくなっちゃうし、脱線できなくなっちゃうでしょ? 勝手に脱線していく方が、テレビは面白いと思うんです。
歴史的な事実を伝えるのはスタッフたちが編集でやることであって、僕は視聴者と同じ視点で疑問を持ったり、僕なりに他の業界のものと結び付けて新説を唱えたりするのがいいと思うんですよね。
──この番組では歴史アイドルの方たちとも共演されていますが、いかがですか?
彼女たちが歴史を知っているから、こっちはこんないい加減でいられるんだよ。僕が興味を持つとどんどん質問するっていうのを彼女たちは知っているから、みんなきちんと勉強してくるしね(笑)。
彼女たちがいなかったら、物事を知らない僕がただ勉強しに行くっていう番組になって、ばかみたいに見えちゃうでしょ? 案内人がいた方が、視聴者も安心するからね。彼女たちに甘えていると思います(笑)。
──ただ歴史を解説するのではなく、経済の視点で考えるというのが面白いですが、このコンセプトについてはどう思いますか?
ただの歴史番組だと、既視感があるからね。武将が藩を動かすのも、大人数の農民を集めて挙兵するのも、経済的な基盤があるからできること。人々をどうやって食べさせていたのかとか、あるいは、武器を買うのにどのくらいの財力があったのかとか。
そういうことを調べていくと、その土地の名産品が出てくるし、あるいは緊縮財政なりの政治判断にぶつかる。単に「強かったから天下を取った」っていう、単純なものではないからね。
城づくり1つ見ても、石垣を運ぶ人たちがいて、積む人たちがいて、そこに常駐する兵士がいて。「じゃあ、誰がそのお金を出しているんだ?」って考えた時に、リアルな歴史が見えてくると思うんです。
それに、お金の感覚って、今とあまり変わらないからね。「それは資金がないとできないでしょ!」とか、「これだけもらえたら動くなあ」っていうのは、現代の僕たちが共感できるポイントです。
──これまで日本各地を回られて、特に印象的だった発見は何ですか?
「井伊直弼(なおすけ)」の回で、彼が桜田門外の変で殺された時に座っていた座布団を見たんです。お寺に保管されていたんですけど、じーんと来て、思わずその座布団をなでちゃいましたね。
あとは、土方歳三の文書ね。毛筆って、絵文字が付いているようなものですから。太さとか墨の量で、文章のニュアンスを伝えていたんですよね。そういうのを見て、刺激を受けています。
──これまでのロケで経験したことは、ご自身のさまざまな活動に生かせそうですか?
僕らの仕事はどこでどう生きるか分からないですからね。僕らがやっていることって、ノウハウ本とは違いますから。「こうやったらこれができるよ」ではなくて、いつか生きるっていうのが大事なんじゃないかな。
毎週月曜夜9:00-9:55
BS12 トゥエルビにて放送
※初回放送は毎月第1・2月曜日
※「相撲」の回は3月6日(月)夜9:00-9:55
【HP】http://www.twellv.co.jp/event/rekishisaikou/