「慎吾ママ」など“キャラもの”を多彩に演じる
一方で、「西遊記」(2006年、フジテレビ系)の孫悟空、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(2009年、TBS系)の両津勘吉、映画「NIN×NIN忍者ハットリくんTHE MOVIE」 (2004年)の服部カンゾウ、「慎吾ママ」といったいわゆる「キャラもの」も数多く演じてきた。
「ああいうのは『自分』じゃないですしね。でもコントとお芝居は一緒な気がしてて、僕は別に違いはないと思う。全部一緒ですね。カニ蔵とダニー・オーシャンは同じです。 (演じるということにおいて)別に違いはないから。慎吾ママもそう。(略) 『キャラものでずっとロケとかやってるの、すごくキツくないですか?』って言われるけど、全然キツくないですよね。もう別物として、自分はその時間を生きてるから」(「Bananavi!」2014年9月号)
おそらく、香取慎吾にとって、シリアスな役からコミカルな役まで、シリアルキラーも、忍者も、どんな役柄でも一緒なのだ。常に「無」の境地でいながら、その場で起こる様々な状況に柔軟に対応しながら、ただそこに生きている。その「無」の演技に僕たちは無限の想像力を掻き立てられるのだ。
文=てれびのスキマ
1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」
※『月刊ザテレビジョン』2020年11月号