篠原涼子“ご寮人さん”も泣き笑い 「おちょやん」で描かれる涙と笑いの絶妙バランス
杉咲花がヒロインを務める連続テレビ小説「おちょやん」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は一週間の振り返り)。第17週「うちの守りたかった家庭劇」(第81~85回/3月29日~4月3日)では、激しくなっていく戦局に翻ろうされながらもたくましく生きる市井の人々の姿が描かれている。(以下、ネタバレがあります)
「芝居茶屋に湿っぽいのは似合えへん」
昭和19年になり、福助(井上拓哉)が出征。そしてその数日後、岡安のおしまいの日が訪れた。
岡安は、千代が8つの時から10年奉公した芝居茶屋。同業者が次々と店を閉める中、岡安だけは“ご寮人(りょん)さん”こと女将のシズ(篠原涼子)がそののれんを守ってきた。
さいごの日、店を離れるお茶子(女中)、富士子(土居志央梨)、節子(仁村紗和)、玉(古谷ちさ)は、シズの「あんたら…老けたなぁ」の一言に思わず相好を崩した。
最後の給金を手渡しながら、ひとりひとりに温かい感謝の言葉をかけたシズ。その表情はやわらかく、長い間娘のように見守ってきたお茶子たちに対する母性にあふれている。受け取る富士子たちもこらえきれず、涙を流している。
だが、芝居の街・道頓堀で生きてきたシズは湿っぽいだけでは終わらない。挨拶を終えると、パッと気風のいい普段の“ご寮人さん”の顔に戻り「話は以上だす。ほらみんな、ちゃっちゃと出てってな」「何もたもたしてますねん。あんたらはちゃっちゃとどこへでも行って、また次の幕あけなはれ。さぁ行った行った!」と追い立てるように3人を戸口にいざなうと、「長いことおつかれさんだったな。ほな!」と戸を閉めてしまった。
そして、言い訳するように「芝居茶屋に湿っぽいのは似合えへん」とつぶやくと、閉まった戸に向かって静かに涙を流した。