オダギリジョーが、4月27日に都内で行われた映画「茜色に焼かれる」の完成報告会に登場。主演の尾野真千子、共演の和田庵、片山友希、永瀬正敏、石井裕也監督と作品への思いなどを語った。また、主演の尾野について「大げさに言うと同期みたいな。同じ時代を歩んできた仲間のような気がするんです」とした上で、「今回の尾野真千子さんは大変素晴らしかったですね」と絶賛した。
同作は、社会的弱者が生きづらい時代に翻弄(ほんろう)され、もがきながらも懸命に生きようとする母子の姿を描くヒューマンドラマ。多難の時代に逆風を受けながらも前向きに歩もうとする主人公・田中良子役を尾野が務め、「舟を編む」(2013年)、「夜空はいつでも最高密度の青色だ」(2017年)などで知られる石井監督がメガホンを取る。オダギリは交通事故で命を落とす、良子の夫・陽一役だ。
シックな黒の衣装で登場したオダギリは「(コロナによるイベント開催場所の変更など)何が起こるか分からない日々ですけど、こういう社会に対して石井監督が思ったことを詰め込んだ作品なんだろうなと。今この時代に受け取っていただきたい作品だと強く思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします」とあいさつ。
コロナ禍での撮影となったことについて、オダギリは「この作品は去年の8月末ぐらいに撮影していたんですけど、僕は緊急事態宣言が明けて初めて参加した作品だったので、今の現場ってこうなってるんだって思うことがたくさんあって。本番ギリギリまでフェイスシールドをしておくとか、ご飯も一人でしゃべらないで食べて、みたいな。今までのシステムがすべてひっくり返ったような…。こんな状態で映画を作っているんだって初めて感じました。現場のスタッフの数も少なくなっていましたし」と、少し戸惑ったこと明かす。
続けて「そんな中で監督は日々闘いながらこの作品に挑まれていて、コロナ禍だからこそ描きたいことがちゃんと描かれている。今テレビとか映画を見ていても、“マスクのない世界”をできるだけ描こうとしていますよね。それはきっと現実のつらさを、作品見ているときぐらい忘れようよ、みたいな思いだと思うんですけど。一方で現実はコロナの世界で生きているわけで、そこには理不尽な社会が待っている。その中で一生懸命もがきながら生きている人たちの世界を作品にしないで、何を作品にするんだとも思うので、本当にすごく尊い作品だなって思いますね」と作品への思いを明かした。
5月21日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
出演:尾野真千子、和田庵、片山友希、オダギリジョー、永瀬正敏 ほか
監督・脚本・編集:石井裕也
配給:フィルムランド 朝日新聞社 スターサンズ
(C)2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ
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