大河ドラマ「西郷どん」朝ドラ「まれ」でも存在感
俳優・塚地は大河ドラマ「平清盛」(2012年)、「西郷どん」(2018年)に出演。「西郷どん」の熊吉も印象的だった。
西郷家の家人で西郷隆盛こと吉之助(鈴木亮平)に仕え薩摩から江戸にもついてきた。穏やかで忠実な人物で、幕末、武士が争っている難しい時代のなかで庶民目線を担っていた。
朝ドラでは「まれ」(2015年)に出演、主人公(土屋太鳳)の幼なじみ(門脇麦)の父役。このドラマは地元で主人公たちを見守る親たちにもスポットが当たり、塚地も娘の言動に一喜一憂する親をユーモラスに演じた。
2度目の朝ドラ出演となった「おちょやん」では終盤の重要な役を担うことに。チャキチャキ系の千代はともすればキツイ言い方になることがあるが、当郎がとぼけたことを言うので、千代がどんなにキツイ返しをしても笑いが混ざってほどよくなる。
第102回で、千代を訪ねたNHKのプロデューサー酒井(曾我廼家八十吉)が「あないやわらかい声 いや言葉遣いやな 久々に聞いた気がするわ」と千代のことを表する。彼女がもともともっていた才能――声の良さ、話し方、それからほげた(口)のうまさによるアドリブがどんどん出てくること等々が当郎との共演でさらに生きることは防空壕での漫才で実証済み。
塚地武雅とセリフを交わす杉咲花も生き生きと楽しそうに見える。どんな番組に出ても塚地はムードメーカー。共演者を最大限に引き立てながら、自分もけして引っ込んではいない。周囲とのバランスのとり方が抜群で、熱すぎずぬる過ぎずいい湯加減を作り出す。