吉沢亮が主演を務める大河ドラマ「青天を衝け」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。同作は、新一万円札の顔としても注目され、“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一(吉沢)が幕末から明治へ、近代日本のあるべき姿を追い続け、時代の渦に翻弄され挫折を繰り返しながらも高い志を持って未来を切り開いていく姿を描く。
(以下、第12回のネタバレを含みます)
5月2日に放送された第12回「栄一の旅立ち」では、高崎城乗っ取りを計画していた栄一だが、満島真之介演じる長七郎の涙の説得により計画を断念。一時は命を捨てる覚悟でいた栄一が千代(橋本愛)の元へと帰り、自身の気持ちを語る。栄一は、これまで抱くことができなかった娘のうたの温もりを感じ、涙を流す。そして、栄一と喜作(高良健吾)は再起をはかるため、血洗島村を離れ京都に向かうことを決意。栄一にとって転機となる場面が描かれた。
「第12回は、吉沢さんをはじめ、キャストの皆さんが素晴らしい熱量で演じ切ってくれているので、少しでもその“熱さ”が視聴者の皆さんに伝わればいいなと思います」と語っていた、同作のチーフ演出を務める黒崎博氏に撮影の裏側を聞いた。
登場人物の感情をリアルに表現するため、黒崎氏は5分を超える長いシーンを、ワンテイク一発撮りで撮影したと明かす。黒崎氏は「今回はとても重く、5分を超えるような長いシーンが続くので、とにかく全て一発撮りで、『ワンテイクで撮り切るということをやっていこうね』と吉沢さんと話しました。吉沢さんの集中が素晴らしくて、撮り始める前に『このシーンはいいものになるぞ』と現場も感じながら、撮影していきました」と振り返った。
今回の栄一を一言で表すと“かっこ悪い”と語る黒崎氏。その理由について「とにかく大失敗の回です。これまで自分が取りつかれていた“攘夷”というものが完全に間違っていたと認める。それは男として悔しいですし、恥ずかしい。特に千代とのシーンは、本当に栄一がみっともないせりふを言っていたと思うんです。だから、吉沢さんには『恥ずかしいけれど、間違っていたという、みっともなさをさらけ出して』と話しをして本番に臨んでもらいました」と語った。
そして、続けて「吉沢さんは器用な方なので、綿密にお芝居を組み立てて演技することもできるのですが、今回については『自分でも計算しきれない気持ちが出てくるということを狙おう』ということを話しました。なので、キャストだけでなく、本当にドキュメンタリーみたいに、カメラマンもその場にならないとどういう風に動くか分からない、とにかく計算しないでやってみようと意識しました」と明かした。